第2節 観光立国の実現に向けた取組み 

4 観光旅行の促進のための環境の整備

(1)休暇の取得促進・旅行需要の平準化等
 休暇の取得と一体となった国内旅行の需要を喚起するための取組みとして、国内旅行需要の創出・平準化に関するベストプラクティス集の作成、有識者会議の開催等の普及啓発活動を進めた。
 また、(社)日本ツーリズム産業団体連合会は、特定の時季に集中しがちな休暇の分散を促進するため、「1ウィークバカンスキャンペーン」を実施し、平成20年度は、ポスター等の広報活動等を実施した。
 
「1ウィークバカンス」キャンペーン共通ロゴマーク

「1ウィークバカンス」キャンペーン共通ロゴマーク

(2)ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進
 ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光を促進するため、ユニバーサルデザインに配慮した旅行商品・旅行システムのあり方及び観光地のユニバーサルデザイン化のための手引き集を平成20年3月に策定し、その普及・啓発活動に取り組んでいる。

(3)観光地の情報提供のためのシステム開発等
 観光客への情報提供の高度化による移動支援の先進的な取組みを支援するため、様々な観光情報提供手段が補完・連携できるような実証実験(まちめぐりナビプロジェクト)を実施しており、平成20年度は20地域を選定した。

(4)旅行取引を取り巻く環境の変化に対応した消費者保護への取組み
 平成20年度は、航空会社による燃油サーチャージの賦課が恒常化している状況を踏まえ、旅行取引における取扱いについても広告や契約書面に燃油サーチャージを含めた旅行代金を表示するなど、旅行者にわかりやすい表示を行うよう旅行業者に周知徹底した。

(5)日本人の海外旅行促進のための取組み
 平成20年12月に観光庁において取りまとめた、「国民の海外旅行容易化に向けた取組み」、「若年層向け対策」、「VWC事業等と連携したTwo Way Tourismの推進」の3つを柱とする「当面のアウトバウンド施策について」に基づき、官民一体で取り組むべき課題について、関係者と連携しつつ取り組んでいる。また、海外旅行者の安全を確保するため観光庁は、外務省等と緊密な連絡をとりつつ、海外旅行者に対する渡航情報の周知徹底や、旅行業者の緊急連絡体制の整備を図っている。

(6)新たな旅行形態の創出等
 エコツーリズムやグリーンツーリズム等の地域の独自の魅力を生かした「ニューツーリズム」の創出と流通を促進するため、平成19年度に引き続き、実証事業の実施等により「ニューツーリズム」市場の形成を支援するとともに、観光関係者等に対するセミナーの開催等により、「ニューツーリズム」市場の育成を図っている。
 また、自然環境の保全に配慮しつつ、地域の創意工夫を生かしたエコツーリズムの一層の普及・定着を図るため、「エコツーリズム推進法」に基づく政府の基本方針を作成し、20年6月に閣議決定された。
 
沖縄県屋我地島(やがじじま)のエコツアー風景

沖縄県屋我地島(やがじじま)のエコツアー風景

(7)観光統計の整備
 従来の観光統計は、包括的な統計が存在せず、また、統計作成の上での統一的な基準がないなどの問題があり、観光政策の立案や検証に十分活用できてないため、平成19年1月調査から「宿泊旅行統計調査」(承認統計)を四半期ごとに実施し、都道府県単位で比較可能な延べ宿泊者数・延べ外国人宿泊者数等のデータを把握・公表している。また、20年度は、都道府県における観光入込客数等の調査手法の検討やTSA(注)の本格導入についての検討を行っている。


(注)TSA(Tourism Satellite Accounts;旅行・観光サテライト勘定)は、国民経済計算体系(SNA)のサテライト計算のひとつとして「93年国民経済計算体系」(SNA93)に位置づけられている。これは、特別な経済活動(環境、家事等)を体系付けるサブ・システムであり、GDP統計等との整合性・比較可能性を保ちつつ、新しい経済概念に対応していく枠組みである。

 

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