第5節 北海道総合開発の推進 

第5節 北海道総合開発の推進

1 地球環境時代を先導する新たな北海道総合開発計画の策定・推進

(1)新たな北海道総合開発計画の策定
 北海道の優れた資源・特性を活かして我が国が直面する課題の解決に貢献していくとともに、地域の活力ある発展を図ることを目的として、国は、これまで6期にわたり計画を策定し、北海道の積極的な開発を行ってきた。
 平成20年7月4日に閣議決定された「地球環境時代を先導する新たな北海道総合開発計画」では、「開かれた競争力ある北海道」、「持続可能で美しい北海道」、「多様で個性ある地域から成る北海道」の実現を戦略的目標とし、多様な主体との連携・協働や先駆的・実験的な取組みを進めることにより各種施策・事業の推進を図っている。

(2)計画の実現に向けた取組み
1)食料供給力の強化
 北海道は我が国の農地面積の25%を有し、国内食料生産の約2割(カロリーベース)を供給している。安全な食料の安定的供給は我が国の重要な課題であり、引き続き北海道が我が国の食料基地の役割を担うため、生産性の高い土地利用型農業の展開を支える生産基盤の整備を進めている。
2)北海道環境イニシアティブの推進
 北海道洞爺湖サミットの開催を契機として、「世界に開かれた美しい北海道づくり」、「北の暮らしのイノベーション」を一層推進するため、多様な主体との連携・協働により、我が国の環境政策の先駆的取組みとしてモデルとなる施策を展開している。平成20年度は、北海道発の植樹技術を活用した植樹活動、河川・湿地等の自然再生事業等を推進した。今後は、地域づくりや観光地づくり等の分野を中心に環境に配慮した取組みを加速することとしている。
3)北海道に適した新たなバイオマス資源の利活用に向けた取組み
 食料需給に影響しないバイオマス資源の必要性が高まる中、耕作放棄地等を活用した資源作物(注)の効率的生産を行うことが重要となっている。このため、平成20年度より、北海道に豊富に存在するヤナギを新たなバイオマス資源として利活用するため、その効率的な栽培技術やエネルギー(バイオエタノール等)抽出技術等の調査を行っている。
 
図表II-3-5-1 ヤナギの利活用サイクル

図表II-3-5-1 ヤナギの利活用サイクル

4)国際会議等の北海道開催の推進
 北海道洞爺湖サミットの開催を契機に、北海道は、市長会、町村会、経済団体等とともに官民一体となって国際会議等の誘致に積極的に取り組んでいる。政府としても新たな北海道総合開発計画を推進する観点から、平成20年7月4日に閣議了解された「国際会議等の北海道開催の推進について」に基づき、各省庁連絡会議を設置し、国が関与する国際会議等の北海道開催の推進や地域の取組みに対する支援等を行っている。
5)戦略的目標の達成に向けた社会資本整備の推進
 計画に掲げられた3つの戦略的目標の達成に向けて、高規格幹線道路を始めとする基幹的な交通ネットワークの整備や冬季交通の確保、多発する自然災害に備える国土保全施設の整備等の社会資本整備を多様な主体と連携し効果的に推進している。


(注)エネルギー源や製品材料とすることを主目的に栽培される植物で、トウモロコシ、なたね等の農作物やヤナギ等の樹木が該当

 

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