第3節 建築物の安全性確保 

第3節 建築物の安全性確保

(1)住宅・建築物の生産・供給システムにおける信頼確保
 平成17年11月に明らかとなった構造計算書偽装問題は、居住者等の安全と居住の安定に大きな支障を与えただけでなく、国民の間に建築物の耐震性に対する不安を広げ、また、建築確認・検査制度及び建築士制度への国民の信頼を大きく失墜させることとなった。このような事件の再発を防止し、法令遵守徹底と建築士等による適正な建築活動の確保を図り、国民が安心して住宅の取得や建築物の利用ができるよう、早急に制度の見直しを図っている。
 19年6月には、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物等に対する構造計算適合性判定の義務付け等による建築確認・検査の厳格化等を内容とする「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」が施行された。なお、改正建築基準法施行後、建築確認手続が停滞し、住宅着工が大幅に減少するなどの影響があったが、設計側・建築確認審査側双方の関係者に対するきめ細かな情報提供や技術的支援等を進め、新しい建築確認手続きは一定程度定着してきている。
 また、20年11月(一部は21年1月)には、建築士に対する定期講習の受講義務付け等による建築士の資質・能力の向上や、一定規模以上の建築物について構造設計一級建築士等の設計又は法適合確認の義務付けによる構造設計等の適正化等を内容とする「建築士法等の一部を改正する法律」が施行された。これに伴い、21年5月には新制度が開始されることから、幅広い周知やサポートセンターの設立等必要な技術者の確保に向けた取組みを進めている。
 さらに、住宅取得に対する不安が強まる中、新築住宅に瑕疵が発生した場合においても確実に瑕疵担保責任が履行され、消費者が安心して住宅を購入できるよう、19年5月には、建設業者及び宅地建物取引業者に対し資力の確保(住宅瑕疵担保保証金の供託又は住宅瑕疵担保責任保険契約の締結)を義務付ける「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が成立した(21年10月施行(一部は20年4月施行))。これについては、大多数の利用が見込まれる保険制度について事業者の活動に支障を来たすことのないよう、保険法人における現場検査員の十分な確保等に努める一方、事業者を対象とした説明会の実施や、パンフレット・チラシの配布及びマスコミを通じた消費者に対する普及啓発にも精力的に取り組んでいる。

(2)エレベーター及び遊戯施設に係る事故への適切な対応
 平成18年6月の東京都港区のエレベーターにおける死亡事故、19年5月の大阪府吹田市のコースターの死亡事故等を受け、社会資本整備審議会建築物等事故・災害対策部会は、「昇降機、遊戯施設等の安全確保について」を20年2月に取りまとめ、これをふまえて、国土交通省では、定期報告制度の充実・強化を図るとともに、エレベーターの安全装置等に係る技術基準の見直しを行った。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む