3 社会資本の高齢化時代における戦略的な維持管理・更新  我が国の社会資本は、戦後の高度経済成長とともに着実に整備されてきたが、今後、こうした社会資本の高齢化が急速に進行するという課題に直面することになる。  こうした状況の下、今後必要となる維持管理費、更新費についても、急速に増加していくことが想定されており、特に今後も厳しい財政状況が続けば、真に必要な社会資本整備だけではなく、既存施設の維持管理、更新にも支障を来すおそれが指摘されている。同時に、高齢化した施設の割合が増大していくと、重大な事故や致命的な損傷等が発生するリスクが飛躍的に高まることが予想されている。  このため、従来の、損傷等が発生した後に対処するという「事後的管理」から、事前に点検し、異常が確認又は予測された場合、致命的欠陥が発現する前に速やかに措置するという「予防保全的管理」へと転換し、戦略的に維持管理を実施することで、国民の生命と財産を守り安全・安心を確保するとともに、施設の寿命を延ばし、更新費を抑えることでライフサイクルコストの低減を図っていく。 図表II-1-5-2 建設後50年以上経過する社会資本の割合 図表II-1-5-3 予防保全対策を考慮したライフサイクルコストの低減