3 国際観光の振興 (1)ビジット・ジャパン・キャンペーンの高度化  訪日外国人旅行者数を平成22年までに1,000万人にするとの目標を達成するため、日本の観光魅力を海外に発信するとともに、訪日旅行者の満足度向上に取り組むビジット・ジャパン・アップグレード・プロジェクトを官民一体となって進めている。  フランスについては、日仏観光交流年として、東京や京都だけではなく、金沢、高山、高野山、直島といった潜在的な旅行需要を備えた地域を選定し、重点的にプロモーションを行った。これらの事業により、訪日フランス人旅行者数は推計で約14.8万人(対前年比7.1%増)となった。  韓国については、日韓観光交流年として、ビジット・ジャパン・キャンペーン韓国観光親善大使ユンナさんをメインキャラクターとしたCMの放映や日韓交流おまつり等でのステージイベントを通じて、両国の文化交流の架け橋となるようなプロモーションを行った。これらの事業は、20年秋以降の、ウォン安、株価の下落等により、外国への旅行意欲が落ち込む中、減少幅を縮めるのに貢献した。また、20年6月に韓国・釜山にて、第3回日中韓観光大臣会合を開催し、日中韓三国の交流人口を22年までに1,700万人とするために、共同プロモーションの推進や国際相互利用可能な観光客向けICカード等の決裁システム構築に向けた協力を進めるなど3国間の連携強化を図った。さらに、21年3月13日の「観光立国推進戦略会議」からの提言を受け、32年に訪日外国人旅行者2,000万人という目標達成のため、日本の多様な魅力を発掘し、磨き上げ、「第二の開国」ともいえる社会構造への転換により観光立国に向けた取組みを進めていく。 パリ市内観光バスラッピング広告 (2)国際会議の開催・誘致の推進  日本における国際会議の開催件数を平成23年までに5割以上増やし、アジアにおける最大の開催国を目指すとの目標を達成するため、19年5月に取りまとめられた「国際会議の開催・誘致推進による国際交流拡大プログラム」に基づいて、産学官一体となって国際会議の開催・誘致に取り組んでいる。  観光庁では、コンサルティング窓口を設置し、関係省庁と連携した誘致活動の支援を実施している。また、国際会議適地としての我が国の認知度を向上させるため、コンベンション見本市への出展や、キーパーソンの招請を行うとともに、誘致戦略マニュアルの作成等ソフトインフラの整備を実施している。20年からは開催国の決定権者に対する働きかけ等を行うために実施される説明会、レセプション等の誘致活動等について、観光庁が共催することにより支援を行っている。 (3)外国人観光客の受入れ体制の確保  公共交通事業者等の取組みとして、主に都市部の地下鉄等において、路線名と駅名にアルファベットや数字を併記するナンバリング(番号制)が導入されるなど、外国人旅行者の利便性の向上が図られている。これらの取組みをより一層促進するため、「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律(外客旅行容易化法)」では、公共交通事業者等に対して、情報提供促進措置(注)を講じるよう努力義務を課しており、特に、外国人旅行者の利用が多く見込まれる区間については同措置を講ずべき区間として観光庁長官が指定し、これに該当する公共交通事業者等(249事業者)に対して情報提供促進実施計画の作成・実施を義務付けている。  外国人旅行者に対して報酬を得て通訳案内を行う通訳ガイドについては、外国人観光旅客に対する接遇の向上を図り国際観光振興に寄与するため、「通訳案内士法」に基づき通訳案内士試験を実施しており、平成20年4月現在、通訳案内士登録者数は12,190人となっている。また、地域限定通訳案内士については、19年度の岩手県、静岡県、長崎県、沖縄県に加え、20年度から北海道及び栃木県による試験実施を支援している。  また、外国人旅行者の受入れ体制に関する仕組みの構築及び外国人に対する日本の魅力の発信といった努力に公的評価を付与することにより、訪日促進の諸活動が広がることを期待し、一層の外国人旅行者の訪日を推進するため、他の関係者の手本となる優れた取組みを行った者を「YOKOSO! JAPAN大使」として、21年2月までに国土交通大臣が39名を任命した。他方、「国際観光ホテル整備法」に基づき、ハード・ソフトの両面から見て訪日外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行い、税制特例措置等の適用等による支援を行っている。20年10月末現在、1,110軒のホテル及び1,959軒の旅館が登録されている。 (注)外国人旅行者が公共交通機関を円滑に利用するために必要な、外国語等による情報の提供を促進するための措置