4 広域ブロックの自立・活性化と地域・国土づくり (1)広域ブロックの自立と活性化  地域の活性化及び持続的な発展を図るため、地域の知恵と工夫を引き出しつつ、総合的に施策を展開することが重要となっている。そのため、平成20年7月に閣議決定された国土形成計画(全国計画)では、多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築することを目指しており、広域ブロックごとにその特色に応じた施策展開を図るため、国、地方公共団体、地元経済団体等が協働しながら、各広域ブロックのビジョンづくりに取り組んでいるところである。一方、人口減少、高齢化が進展する中、地域づくりの担い手を確保し、地域の自立・活性化を図るため、多様な主体の協働による「新たな公」を基軸とする地域づくりを進める必要がある。 1)地域自立・活性化総合支援制度  平成19年度に地域自立・活性化総合支援制度を創設し、自立的な広域ブロックの形成に向け、民間と連携した地域発意の計画に基づく広域的な経済活動等を支える基盤整備と地域づくりに対するソフト面での支援等を一体的に促進している。本制度は、都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画に基づき年度ごとに一括して交付金を交付する「地域自立・活性化交付金」と、広域的地域活性化基盤整備計画と密接に関連する直轄事業等に対して年度途中に機動的な予算措置を講ずる「国土形成事業調整費」で構成され、これまで64地域の広域的地域活性化基盤整備計画に基づく事業に交付金を交付している。 2)「新たな公」による地域づくりの推進  住民、地域団体、NPO、企業等の多様な主体を地域づくりの担い手と位置づける「新たな公」の考え方に基づき、官民の多様な主体が協働し、伝統・文化等の埋もれゆく地域資源を活用してコミュニティを創生しようとする活動をモデル的に実施する『「新たな公」によるコミュニティ創生支援モデル事業』が平成20年度に創設された。20年度は、全国から357件の応募があり、「集落機能広域再編等将来を見据えた集落整備」、「美しく安全な国土の管理・継承」、「二地域居住・定住促進環境整備」、「文化伝統等地域資源を活用した持続可能な地域の形成」等、地域の事情に即した提案が97件選定され、全国各地で活動が展開されている。 (2)地域の拠点形成の促進等 1)多様な広域ブロックの自立的発展のための拠点整備  「多極分散型国土形成促進法」に基づき、地方において特色ある産業、文化等の機能が集積する拠点として振興拠点地域の整備を推進している。また、首都圏では、首都圏整備計画に位置づけられている業務核都市(注)において、業務施設の立地や諸機能の集積の進展によって、東京中心部への過度の集中の是正等に一定の効果を上げているところであり、引き続き整備を推進している。さらに、「筑波研究学園都市建設法」に基づき、科学技術の集積等を活かした都市の活性化等を目指し、筑波研究学園都市の建設を推進しているほか、つくばエクスプレス沿線で都市開発が進む中、研究学園都市の特性を活かした環境都市づくりに取り組んでいる。一方、近畿圏では「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、文化・学術・研究の新たな展開の拠点形成を目指して関西文化学術研究都市の建設を推進しており、平成18年3月に策定された「サード・ステージ・プラン」を踏まえ、19年4月に「関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針」を変更し、関係省庁、地元自治体、経済界等と連携を取りながら、更なる都市建設の推進を図っている。このほか、世界都市にふさわしい機能と良好な居住環境等を備えた地域とするため、「大阪湾臨海地域開発整備法」に基づく整備計画の実施を推進している。 2)国会等の移転の検討  国会等の移転に関する法律に基づき、国会等の移転に関連する調査や国民への情報提供等、国会における検討に必要な協力を行っている。 (注)東京都区部以外の地域で、その周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市(14拠点)