コラム 都市再生プロジェクト 1.国際競争力のある世界都市の形成 大都市圏における国際交流・物流機能の強化  都市再生においては、国際交流・物流機能の強化を通じた国際競争力強化が重要であり、拠点空港・港湾の機能強化とともに、アクセスの利便性向上が緊急の課題となっています。このため、都市再生プロジェクト第二次決定を受け、国際拠点空港(成田国際空港、関西国際空港及び中部国際空港)の整備や機能拡充を推進するとともに、東京国際空港(羽田)の再拡張について、事業を推進しているほか、空港とのアクセスの利便性向上を推進しています。また、大都市圏の国際港湾については、国際水準の高規格ターミナル等の拠点的整備を行うとともに、主要コンテナターミナルの24時間オープン化、港湾手続の統一化・簡素化の推進等により、アジア主要港をしのぐ港湾コスト・サービスの水準を目標として、官民一体となってスーパー中枢港湾プロジェクトを推進しています。 大都市圏における環状道路体系の整備  大都市において、通過交通等都心部に集中する交通を分散する環状道路の整備により、都市の骨格形成に加え、交通渋滞の緩和、CO2排出量の削減、良好な生活空間創造、地域の活性化、物流の効率化等に寄与します。  現在、三大都市圏における環状道路の整備率は約5割(首都圏約4割、中部圏約6割、近畿圏約6割)であり、このうち首都圏においては、おおむね10年後に首都圏3環状道路(首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、首都圏中央連絡自動車道)全体の約9割を完成させるよう整備を進めています。 2.安心して暮らせる美しい都市の形成 東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備  大都市圏において、大規模地震等による甚大な被害が発生した際に、広域的な防災活動の核となる基幹的広域防災拠点の整備を関係機関と連携して進めています。東京湾臨海部においては、内閣府と連携して整備を進めており、平成20年度には、有明の丘地区の本部棟が竣工するとともに、東扇島地区の供用を開始し、運用体制の強化を進めています。また、京阪神都市圏においても、京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会での合意に基づき、堺泉北港堺2区において20年度より整備を進めています。 東京駅周辺における防犯対策等とまちづくりの連携協働  東京駅周辺では、現在、民間ビル群の建替えによる「街の更新」が進められています。この「街の更新」にあわせ、企業として「街」が直面する様々なリスク(災害、犯罪、テロ等)や鉄道事業者との連携、電力・通信の安定といった、まちづくりにおける新しい課題に対し、企業間の共助の場として「東京駅周辺防災隣組」が組織されています。防犯対策の取組みとしては平時の防犯パトロール活動に加え、「QRコードを活用した地区内情報配信システム」があります。このシステムは、千代田区の災害情報掲示板に貼られたQRコードから、防犯面での「気がかり情報」の書き込み、東京駅周辺防災隣組のメンバー間で交換する災害情報や防犯情報の閲覧、近接避難場所の地図情報といった防災情報だけでなく、防犯の情報も共有できる仕組みとなっています。この情報配信システムを用いつつ、平常時にも防犯パトロールが行われることにより、非常時の安全管理の目線が養われています。 3.良好な都市環境の形成 大都市圏における都市環境インフラの再生  首都圏と近畿圏では、都府県域を超えて自然環境の保全・再生・創出を総合的に考慮した水と緑のネットワークを形成するための基本方針である「都市環境インフラのグランドデザイン」を平成16年3月(首都圏)及び18年8月(近畿圏)に策定しています。  この方針に基づき、首都圏では、19年7月に公開した「首都圏の都市環境インフラデータベース」を活用し、行政や市民、NPO等の多様な主体による取組事例を首都圏住民に広く周知し、その拡大に努めています。 琵琶湖・淀川流域圏の再生  琵琶湖・淀川流域圏を健全な姿で次世代に継承するため、「水でつなぐ“人・自然・文化”」を基本コンセプトに、流域圏の関係機関が連携して、「歴史・文化を活かし自然と共生する流域圏・都市圏の再生」の実現を目指しています。具体的には、水辺・水際の動線を確保するためのみずべプロムナードの整備、水辺に棲む生物の生息・生育環境を保全・再生するためのワンドやたまりの整備、琵琶湖の生態系を再生するための水質・底質の改善等を行っています。 平成20年3月に完成した八軒家浜船着場(大阪市中央区)