第6章 安全・安心社会の構築 第1節 ユニバーサル社会の実現 1 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリーの実現  「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づき、平成18年12月には、公共交通機関や建築物等のバリアフリー化、施設間の経路の一体的・連続的なバリアフリー化の促進等に加えて、心のバリアフリーの促進、高齢者や障害者等関係者の参画による段階的な発展を目指すスパイラルアップの導入等の施策を盛り込んだ「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が施行され、ハード・ソフト両面における施策の充実により、ユニバーサル社会の実現に取り組んでいる。 (1)公共交通機関のバリアフリー化  バリアフリー新法に基づき、旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付け、既存施設については同基準の適合への努力義務を課すとともに、市町村が策定する基本構想に即した一体的なバリアフリー化を推進している。また、鉄道駅へのエレベーター等の設置、路面電車における低床式車両(LRV)の導入、標準仕様の認定を受けたノンステップバスに対する補助を実施している。さらに、国民一人ひとりによる高齢者、障害者等に対する理解と協力、すなわち「心のバリアフリー」の推進を図るため、高齢者、障害者等の介助体験・疑似体験を行う「バリアフリー教室」の開催等ソフト面の施策についても積極的に推進している。 図表II-6-1-1 公共交通機関のバリアフリー化の現状 (2)居住・生活環境のバリアフリー化 1)住宅・建築物のバリアフリー化  高齢者、障害者等の自立や介護に配慮したバリアフリー住宅の取得や改良について支援を行っているほか、公共賃貸住宅についてはバリアフリー化を標準仕様とするとともに、民間事業者等による高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給の促進に取り組むなど、高齢者、障害者等が地域の中で安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう支援等を実施している。  また、不特定多数の方や主として高齢者、障害者等が利用する建築物で、一定規模以上のものを建築する場合には、バリアフリー新法に基づくバリアフリー化の義務付けや、所定の基準に適合した認定特定建築物に対する税制上の特例、補助等の支援措置を行っている。官庁施設においても、高度なバリアフリー庁舎の整備、既存庁舎のバリアフリー改修を実施している。 図表II-6-1-2 「バリアフリー新法」に基づく特定建築物の建築等の計画の認定実績 2)歩行空間のバリアフリー化  バリアフリー新法に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、高齢者・障害者をはじめとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や歩道の段差解消、勾配の改善、立体横断施設へのエレベーターの設置等による歩行空間のバリアフリー化を推進している。 3)都市公園等におけるバリアフリー化  バリアフリー新法に基づき、出入口や園路の段差解消や、高齢者や障害者等が利用可能なトイレの設置等による都市公園のバリアフリー化を推進している。平成20年度より補助制度を創設し、高齢者や障害者等が安全で安心して利用できる都市公園の整備を進めている。また、身近な自然空間として河川、港湾等の魅力を誰もが享受できるよう、スロープ、手すりの整備等によるバリアフリー化を推進している。 車いす使用者に配慮した花壇の設置事例(海の中道海浜公園)