6 新型インフルエンザ対策  近年、東南アジアを中心に鳥インフルエンザ(H5N1)が流行しており、ヒトに感染し死亡する例も報告されているが、このようなウイルスが変異し、ヒトからヒトへ感染する能力を獲得する危険性が高まっている。このようなウイルスは、毎年流行するインフルエンザとは全く異なる新型のウイルスであり、ほとんどの人はこれに対する免疫がないことから、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こし、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすものと懸念されている。我が国においても約2,500万人が罹患し、約64万人が死亡すると推定されている。  国土交通省では、平成20年3月に、「国土交通省新型インフルエンザ対策推進本部」を設置し、政府の行動計画(17年12月策定、21年2月改定)に基づき、国土交通省が行うべき対策等の概要として、「国土交通省新型インフルエンザ対策行動計画」を策定した。同計画では、海外で新型インフルエンザが発生した場合の検疫実施空港・港の集約化や国際航空機・旅客船の運航自粛等の水際対策、国内発生時の公共交通機関における対策や地域封じ込めへの対応等をとることとしている。  海上保安庁でも、同月「海上保安庁新型インフルエンザ対策行動計画」を策定し、関係省庁と連携した水際対策や発生国からの密入国者の監視取締り等に万全を期すこととしている。  また、国土交通政策研究所において、関係機関や経済団体等と協力して、鉄道輸送人員の抑制による新型インフルエンザ感染拡大防止策の検討を行っている。