第1章まとめ 

第1章まとめ

 社会全体で、地域で、また個人のレベルで、人口減少・少子高齢化は様々な影響を及ぼしている。社会経済全体を見渡すと、経済の基調が変化するとともに、人の働き方などが変わってきている。私たちが暮らす地域は、今後人口が減少するとともにますます高齢化が進み、またそこにある装置も変化して、その姿を変えつつある。個人の意識と行動も変化し、内向く若者と元気な高齢者、といった構図が登場している。

 あらゆる面で変化は生じ、日本はまさに転換期にある。
 このような人口減少・少子高齢化の時代においては、既存のモデルが成り立たない部分も多い。しかも、財政制約は厳しい。これまでのやり方ではないような大きな変革を、日本の社会システムに実現していくことが必要である。その際には、何が必要かを見極めそれに全力であたる“選択と集中”も求められる。
 このような取組みは、決して“今後は縮小していく社会を堪え忍んでいく”ということではない。“様々なものを見直す機会”、“新しいアイデアを生み出すチャンス”ととらえるべきである。そしてその際には、地域と個々の生活になにが必要か、官・民すべての主体が知恵をしぼり、協働して取り組んでいかなければならない。実際にそのような取組みも始まっている。

 国土交通省の調査では、現在の社会に対して“暗い社会”、“活気がない社会”と答える人が非常に多かった。一方で、10年後の社会に対しては、少し様子が異なる。「明るい社会」と「暗い社会」では、30.4%と29.8%、「活気がある社会」と「活気がない社会」では30.3%と31.8%となるなど、肯定的な見方が増え、否定的な見方とちょうど拮抗する。いわば、現在の社会に対しては大変厳しいが、将来の社会に対しては、肯定的な見方と否定的な見方が相半ばしている状況である。希望がないわけではない、ちょうど分岐点にある。
 今後どのような取組みが求められるか、第2章では国土交通分野の様々な分野で具体的にみていく。


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