第2節 地域活性化を支える施策の推進 

4 広域ブロックの自立・活性化と地域・国土づくり

(1)広域ブロックの自立と活性化
 地域の活性化及び持続的な発展を図るため、地域の知恵と工夫を引き出しつつ、総合的に施策を展開することが重要である。そのため、国土形成計画(全国計画)では、多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築することを目指しており、広域ブロックごとにその特色に応じた施策展開を図るため、平成21年8月に国土形成計画(広域地方計画)が決定された。また、国土審議会広域自立・成長政策委員会では、政策課題ごとに官民の多様な主体が連携して地域の活性化に取り組む官民連携主体に対し、法制的に責任と権限を与える仕組みが必要とされた。一方、人口減少、高齢化が進展する中、地域づくりの担い手を確保し、地域の自立・活性化を図るため、多様な主体の協働による「新しい公共」の考え方による地域づくりが必要とされている。
1)国土計画の推進のための調整費の活用
 国土形成計画等に掲げられ、かつ閣議等で決定された方針・施策を緊急に具体化するため、急速に普及する電気自動車に対応したインフラ整備方策の検討等、21年度は国土・景観形成事業推進調整費による機動的な調査を5件行った。また、公共事業の事業実施中に発生した予期せぬ事態や事業環境の変化に対応して、同調整費による機動的な予算措置を21年度は37件行うことで、早期完成による事業効果の発現や事業調整によるコスト縮減等を図った。
2)地域自立・活性化の推進
 自立的な広域ブロックの形成に向けたハード・ソフトが連携した取組みを効率的・効果的に実施し、広域にわたる活発な人の往来又は物資の流通を通じた地域の活性化を図るため、都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画に基づき、これまで75地域の計画に対して地域自立・活性化交付金を交付している。
3)「新しい公共」の考え方による地域づくりの推進
 住民、地域団体、NPO、企業等の多様な主体を地域づくりの担い手と位置づける「新しい公共」の考え方に基づき、官民の多様な主体が協働し、伝統・文化等の埋もれゆく地域資源を活用してコミュニティを創生しようとする活動をモデル的に実施する『「新たな公」によるコミュニティ創生支援モデル事業』について、21年度は、全国から176件の応募があり、「集落機能広域再編等将来を見据えた集落整備」、「美しく安全な国土の管理・継承」、「二地域居住・定住促進環境整備」等、地域の事情に即した提案が130件選定され、全国各地で活動が展開されている。

(2)地域の拠点形成の促進等
1)多様な広域ブロックの自立的発展のための拠点整備
 「多極分散型国土形成促進法」に基づき、地方において特色ある産業、文化等の機能が集積する拠点として振興拠点地域の整備を推進している。また、首都圏整備計画に位置づけられている業務核都市(注)において、業務施設の立地や諸機能の集積の進展によって、東京中心部への過度の集中の是正等に一定の効果を上げているところであり、引き続き整備を推進している。さらに、「筑波研究学園都市建設法」に基づき、科学技術の集積等を活かした都市の活性化等を目指し、筑波研究学園都市の建設を推進しているほか、つくばエクスプレス沿線で都市開発が進む中、研究学園都市の特性を活かした環境都市づくりに取り組んでいる。一方、近畿圏では「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、文化・学術・研究の新たな展開の拠点形成を目指して関西文化学術研究都市の建設を推進しており、「サード・ステージ・プラン」を踏まえた「関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針」に基づき、関係省庁、地元自治体、経済界等と連携を取りながら、さらなる都市建設の推進を図っている。このほか、世界都市にふさわしい機能と良好な居住環境等を備えた地域とするため、「大阪湾臨海地域開発整備法」に基づく整備計画の実施を推進している。
2)国会等の移転の検討
 国会等の移転に関する法律に基づき、国会等の移転に関連する調査や国民への情報提供等、国会における検討に必要な協力を行っている。


(注)東京都区部以外の地域で、その周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市(14拠点)


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