第2章まとめ  本章では、国土交通分野を中心に、今後の地域や社会において求められることを考えた。第1章でみたように、厳しい財政状況の下、人口減少・少子高齢化は社会全体から地域、さらに個人の生活にまで大きな影響を及ぼしており、このような時代にどのように対応していくか、さらにそのなかでどのように新しい活力を得ていくか、が本章のテーマであった。  第1節では、人口減少が進み、また厳しい財政状況の下、将来にわたって活力を保ち持続可能なように、社会を再構築していくことが求められた。このためには、都市の集約や公共交通の再生、社会資本の戦略的な維持管理・更新などが必要である。さらに、ハードだけではなくそれらの担い手の面からも、行政だけでなくNPO等の多様な主体が担い手となることが重要である。  第2節では、少子高齢化が進む中で、安心して子育てをしたり高齢期を過ごしたりするための取組みが求められた。このためには、子育てしやすい地域づくりやまちづくり、子育てに必要な施設の立地・アクセスの確保や、高齢者の外出しやすいまちづくり、地域の足の確保、安全に暮らせる住宅などが必要である。また、人と人とのつながりも重要であり、子育て世帯や高齢者世帯を地域全体で支えていくことが必要である。  さらに第3節では、ともすれば不安感が漂う時代に、現状維持にとどまらず、地域の暮らしの質を高めるとともに、地域の外の人をも惹きつける魅力を創出していくことが求められた。このためには、歩いて暮らせるまちづくりや公共交通の確保など地域の利便性を高める一方で、まちの景観など地域らしさを守っていくことが必要である。また、観光により外部の活力を取り入れるため、ニーズの把握、地域の魅力の創出、人材の育成なども重要である。さらには、日本の成長を牽引するような新しい成長モデルの構築が望まれる。  これらの取組みは、転換期を迎える日本において、現状に的確に対応しさらに新たな活力を得ていこうとするものである。国土交通省は、官民の多様な主体とともに積極的に取り組んでいく。  また、これらと方向を同じくして、各地域においても実際の新しい取組みが芽生えている。次章ではこれらの取組みを取り上げる。