第1節 大きな変化の中にある日本 (本格化する人口減少)  1950年に8,411万人であった日本の人口は、50年後の2000年には12,693万人(注1)となるなどこれまで増加を続けてきたが、2004年をピークに減少に転じた。2010年時点で12,738万人の人口は、2055年には8,993万人と9千万人をきり約7割になると推計されている。過去千数百年まで日本の歴史を遡っても、初めての事態を迎えているといえる。 図表1 日本の人口の超長期推計  一方で、生活活動の基礎単位ともいえる世帯は、2010年代中頃までは増加する。これは、1世帯あたりの人員数が減少していることの裏返しであり、次でみる少子高齢化とも相まって世帯の様子が変化していくことを示している。 図表2 人口と世帯数の推移 (進む少子高齢化)  人口の規模だけではなく、その世代構成も変化している。日本の全人口の平均年齢は、1960年は約29歳、1980年は約34歳であったものが、2008年時点では約44歳(注2)となり、高齢化が急速に進んでいる。図表3は、1920年〜2035年の間について、年少人口(14歳以下)、生産年齢人口(15〜64歳)、老年人口(65歳以上)の別に、さらに三大都市圏と地方圏(注3)にわけてその人口の推移をみたものである。生産年齢人口は、三大都市圏を中心に増加してきたが、1995年頃を境に減少に転じている。年少人口も、1980年頃以降減少している。一方で、老年人口は一貫して増加しており、2035年頃には三大都市圏に住む高齢者が地方圏のそれを上回るようになる。また、図表4は、都道府県別に高齢化率をみたものであるが、現在では地方圏の道県を中心に高齢化率は高いが、2035年には東京都で30.7%となるなど、三大都市圏の都府県でも高齢化率は高くなる。2035年の東京都の老年人口は約390万人であるなど、今後は、大都市圏でも高齢化が大きな問題となることがわかる。 図表3 世代別人口の推移 図表4 都道府県別の高齢化率 (厳しい財政状況)  一方で、生活を支える財政の状況はますます厳しくなっている。図表5は、公債残高の推移をみたものであるが、公債残高の額が急速に増加していることがわかる。また図表6は、対GDP比の国際比較であるが、日本の国・地方公共団体を合わせた政府の債務残高は対GDP比で約1.8倍となっており、他の先進諸国と比較して大幅に高い。 図表5 国の公債残高の推移 図表6 一般政府債務残高対GDP比の国際比較 (注1)国勢調査より。 (注2)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2010)」 (注3)「三大都市圏」とは、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)、名古屋圏(岐阜、愛知、三重)、大阪圏(京都、大阪、兵庫、奈良)とし、「地方圏」とは、その他の道県とする(以下同じ。)。