第2節  社会に対する人々の意識 (将来に対する不安)  自分が住む地域での暮らしやそれを取り巻く生活環境について6割近い人が満足と考える一方で、その将来について6割以上の人が不安を感じている(注1)。図表7は普段の生活における不安等について尋ねたものであるが、日頃の生活の中で悩みや不安を感じているとする人がどの世代でも増加している。また、図表8は今後の生活の見通しについて尋ねているが、都市部、地方部ともに「悪くなっていく」と答える人が増加しており、将来に対する悲観的な見方が強まる傾向がある。 図表7 日頃の生活の中での悩みや不安 図表8 今後の生活の見通し (社会に対するイメージ)  国土交通省が2010年2月に実施した調査(以下、「国土交通省の調査」)(注2)で、現在の社会についてそのイメージを尋ねた。それによると、現在の社会について「明るい社会」、「活気がある社会」と答えた人(注3)は21.1%、19.4%であり、およそ5人に1人しか肯定的にとらえていない。また、社会の熟度をみれば「成長期ではないが、成熟社会としての新たなチャンスがある社会」と答えた人は24.1%、人間関係をみれば「地域で支えあっている社会」と答えた人は18.1%であり、やはりいずれも低い値となっている。 図表9 現在の社会に対するイメージ  前節でみたように今後本格的な人口減少・少子高齢化社会が到来するが、図表10は、人々がこの人口減少・少子高齢化社会に対してどのような認識を持っているか、イメージを尋ねたものである。「明るい社会」というイメージが当てはまると答えた人(注4)は8.5%、「活気がある社会」は7.3%など、そのイメージは非常に悲観的である。「新しいアイデアやチャンスが生まれる社会」は21.8%と肯定的な見方が少し高くなるが、世代別にみると(注5)、20代、30代は18.6%、18.0%に対し、65歳以上が26.4%となるなど、若い世代は肯定的にとらえていないことがわかる。 図表10 人口減少社会、少子高齢化社会に対するイメージ  このように、人口とその世代構成という日本のもっとも基礎の部分が転換期を迎えており、一方で人々のマインドは、日頃の生活に不安を感じ、将来に対する悲観的な見方が広まっている。社会に対してポジティブなイメージがもてていない。  我々が暮らす日本で、どのようなことが起き、何が求められているのか、次章以降で詳しくみていく。 (注1)国土交通省が2008年11月〜12月に行った意識調査より。詳細は平成20年度国土交通白書参照。 (注2)2010年2月6日〜8日にかけて、全国の満20歳以上の男女を対象に、インターネットベースにて実施し、4,000人の回答を得た。地域、世代、性別による偏りが生じないよう、実際の人口構成比にあわせて割付を行っている。 (注3)例えば、「A明るい社会」と「B暗い社会」を対比して、「Aに近い」、「Aにやや近い」、「どちらともいえない」、「Bにやや近い」、「Bに近い」のどれに当てはまるかを聞いており、このうちAに「近い」と「やや近い」を合計したものを、「A明るい社会」と回答した人の割合とした。 (注4)「あてはまる」と「ややあてはまる」の合計。なお、前図表は「明るい社会」と「暗い社会」などの2つの事柄間についてそれぞれどちらに近いかをみたのに対し、本図表では「明るい社会」などに当てはまるかどうかを尋ねている点に注意が必要である。 (注5)国土交通省の調査を世代別に集計すると、20代(18.6%)、30代(18.0%)、40代(18.0%)、50代(21.4%)、60代(27.0%)、70代以上(28.7%)、うち65歳以上(26.4%)となる。