2　幹線鉄道ネットワークの整備

（1）新幹線鉄道の整備
　新幹線は、国土の骨格となる高速交通機関であり、移動時間を大幅に短縮し、地域開発や経済活性化等に大きな効果をもたらす。また、新幹線は安全（昭和39年の東海道新幹線の開業以来、乗客の死亡事故はゼロ）かつ環境にもやさしい（鉄道のCO2排出原単位（g-CO2/人キロ）は航空機の1/6、自家用車の1/9）という優れた特性を持っている。
　整備新幹線（注）については、現在、北海道新幹線（新青森−新函館間）、東北新幹線（八戸−新青森間）、北陸新幹線（長野−白山総合車両基地間）、九州新幹線鹿児島ルート（博多−新八代間）、九州新幹線長崎ルート（武雄温泉−諫早間）の5路線の建設が着実に進められている。
　また、平成21年12月には、整備新幹線問題検討会議及び調整会議を設置し、整備新幹線の整備に関する基本方針等を決定したところである。今後、未着工区間の新規着工や並行在来線の支援などの具体的事項について、さらに検討を進めていくこととしている。
　全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画路線である中央新幹線については、21年12月に、調査主体である（独）鉄道建設・運輸施設整備支援機構及びJR東海から供給輸送力、施設・車両の技術開発、建設費用等の調査報告書が提出された。これを受け、22年2月に、営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定について交通政策審議会に諮問され、同年3月より審議が開始されている。
図表II-5-1-4　整備新幹線の現状


図表II-5-1-5　新幹線による時間短縮効果


（2）在来幹線鉄道の整備
　広域的な地域間の連携の強化や地域の活性化に資する高速輸送体系の形成を促進するため、既存の鉄道施設を最大限有効活用して、線路の曲線改良、部分複線化等による在来幹線鉄道の高速化を図っている。平成21年度から、JR北海道の札沼線（桑園・北海道医療大学間）において、電力設備新設、信号・通信設備改修等の高速化事業が実施されている。

（3）技術開発の促進
1)超電導磁気浮上式鉄道（超電導リニア）
　超電導リニアの技術開発については、平成9年から山梨実験線において走行試験が進められており、21年7月に学識者で構成した「実用技術評価委員会」において、「超高速大量輸送システムとして運用面も含めた実用化の技術の確立の見通しが得られた」との評価を受けたところである。引き続き更なるコスト低減に有効な技術開発等を推進している。
2)軌間可変電車（フリーゲージトレイン）
　フリーゲージトレインは、車輪の左右間隔を軌間（ゲージ）に合わせて自動的に変換する列車である。実用化されると新幹線と在来線の直通運転が可能となり、利用者の利便性が向上する。現在、これまでの各種試験の結果を踏まえて改良を行った新型台車を用いて室内試験を実施するなど、技術開発を推進している。

（注）「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、昭和48年に決定された整備計画に定められている5路線