第6節 効率的・重点的な施策展開 

2 公共工事の品質確保や入札契約の適正化

 「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」を踏まえ、国土交通省では、公共工事の更なる品質確保を図るため、平成20年度から原則すべての工事において総合評価方式注1を実施するとともに、建設コンサルタント業務等における総合評価方式を本格導入している。品質確保への支障、下請へのしわ寄せ等が懸念されるダンピング受注に対しては、施工体制確認型総合評価方式や特別重点調査の実施等の対策を行っている。さらに、工事目的物の品質確保を目的として設計者から施工者への設計思想の伝達等による受発注者間の情報共有の推進や、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、これを検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」を試行している。地方公共団体に対しては、総合評価方式の導入・拡充、予定価格の公表時期や低入札価格調査基準価格等の適切な見直しを促進するとともに、ダンピング受注の排除徹底の推進を要請している。
 入札契約制度の一層の改善を図るため、国、地方公共団体等において、一般競争入札の拡大及び総合評価方式の拡充、一般競争入札の拡大に向けた条件整備としての入札ボンド注2の活用、設計・施工一括発注方式やCM方式注3等の多様な発注方式の活用を推進している。国土交通省では、21年度においては、約97.8%の工事で一般競争入札、約99.3%の工事で総合評価方式を実施しており(いずれも金額ベース)、22年度以降においても引き続き、価格と品質が総合的に優れた調達を行っている。地方公共団体に対しては、予定価格の事前公表の取りやめ、競争参加条件の適切な設定や契約変更の適切な実施等について要請を行い、入札契約の適正化を推進している。
 また、21・22年度において、総合評価方式の透明性の確保等に関する改善、虚偽申請防止対策の強化や審査基準の見直し等の経営事項審査の改善、入札ボンドの拡大、標準請負契約約款の改正を行った。
 さらに、22年10月に、支払ボンド注4等による新たな下請代金債権保全策の導入についての中間とりまとめを策定し、23年1月には、建設産業戦略会議において、「建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針」を取りまとめたところであり、できるものから順次実施することとしている。


注1 価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する方式
注2 入札参加者に対して、金融機関等による審査・与信を経て発行される契約保証の予約的機能を有する証書の提出を求める制度
注3 コンストラクション・マネジメント方式。コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行う方式
注4 元請企業倒産時に、保証機関が下請企業の未払債権の支払を保証する制度


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