第3節 建築物の安全性確保 

第3節 建築物の安全性確保

(1)住宅・建築物の生産・供給システムにおける信頼確保
 平成17年11月に明らかとなった構造計算書偽装問題に係る事件の再発を防止し、法令遵守徹底と建築士等による適正な建築活動の確保を図り、国民が安心して住宅の取得や建築物の利用ができるようにするため、改正「建築基準法」に基づく高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物等に対する構造計算適合性判定の義務付けなどにより、建築確認・検査の厳格化が図られている。
 改正「建築基準法」施行後、建築確認手続が停滞し、住宅着工が大幅に減少するなどの影響があったため、設計側・建築確認審査側双方の関係者に対するきめ細かな情報提供や技術的支援等を進め、新しい建築確認手続は一定程度定着した。しかしながら、その後の我が国経済全体が厳しい状況におかれ、住宅着工が再び低水準で推移したことなどを踏まえ、22年6月より、建築確認審査の迅速化・申請図書の簡素化を図るため、建築確認手続等の運用改善が施行された。また、「建築基準法の見直しに関する検討会」を開催し、構造計算適合性判定制度、建築確認審査の法定期間、厳罰化のあり方を中心とした制度の見直しについて検討を行い、同年12月に同検討会の取りまとめを公表した。
 また、改正「建築士法」に基づく一定規模以上の建築物について構造・設備設計一級建築士による設計への関与の義務付けについて、幅広い周知や建築設計サポートセンターの支援等円滑な施行に取り組んでいる。
 さらに、新築住宅に瑕疵が発生した場合においても確実に瑕疵担保責任が履行され、消費者が安心して住宅を購入できるよう、建設業者及び宅地建物取引業者に対し、資力の確保(住宅瑕疵担保保証金の供託又は住宅瑕疵担保責任保険契約の締結)を義務付ける「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」に基づき、住宅瑕疵担保責任保険法人における保険引受体制の整備に引き続き取り組む一方、消費者に対する普及啓発等、制度の浸透に向けた取組みを行っている。

(2)昇降機や遊戯施設の安全性の確保
 迅速な事故現場の調査、報告書の作成を行うため、機械・電気系の専門家の追加等事故調査体制を強化するとともに、社会資本整備審議会に設けた昇降機等事故調査部会において、昇降機や遊戯施設の事故に係る原因解明と再発防止対策の検討を行っている。さらに、平成22年12月から、地方における事故へも対応できるよう地方公共団体及び地方整備局職員を対象とした昇降機や遊戯施設の事故調査を行うための研修を行い、職員の育成に取り組んでいる。


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