コラム 国土交通省の海賊対策
1.アデン湾における護衛活動
アデン湾における商船に対する我が国の護衛活動は、護衛艦が船団を直接エスコートする方法により実施されています。
広大な海域における海賊対処をより効果的に行うため、P-3C哨戒機による上空からの警戒監視活動が併せて行われており、アデン湾を航行する無数の船舶の中に、不審な船舶がいないかどうか確認作業を実施するとともに、護衛活動に従事する護衛艦2隻や他国の艦艇、そして周囲を航行する民間船舶に情報提供を行っています。
海賊対処法に基づく我が国の護衛活動により、平成21年7月28日から23年3月31日までに、1,639隻の船舶及び計3万8千人以上の船員の護衛が実施され、我が国のみならず、広く各国の船主等から感謝の声が届いています。
国土交通省は、アデン湾における海賊対処に関し、護衛活動の申請窓口と対象船舶の選定を担当しており、防衛省等関係省庁と協力し、日本関係船舶及び日本人の安全に万全を期すことはもちろん、外国船舶も護衛対象とすることにより、国際貢献に寄与すべく、引き続き海賊対策に取り組んでいます。
2.海上保安庁が海賊対処法違反で海賊4名を逮捕
平成23年3月5日、日本関係船舶であるオイルタンカー「グアナバラ」がアラビア海(オマーン沖)の公海上を航行中に4名の海賊に襲撃される事案が発生しました。海賊4名は米軍に拘束され、グアナバラ号乗組員は船内の退避区画に避難していたため全員無事でした。海上保安庁では、海上自衛隊の護衛艦に同乗している海上保安官8名が中心となって、米軍から海賊4名を引き取り、護衛艦上で逮捕しました。その後、海上保安庁の航空機により海賊4名を日本まで移送し、同年3月13日に、東京海上保安部が東京地方検察庁に送致し、後日、起訴されました。本件は、21年7月の海賊対処法の施行以来、同法違反で逮捕した初めての事件となりました。
事件発生位置
グアナバラ号