第5節 危機管理・安全保障対策 

4 我が国の海洋権益の保全

(1)海洋権益を保全するための警備活動
 近年、尖閣諸島周辺海域等において、中国・台湾活動家による尖閣諸島の領有権主張活動や中国・台湾公船による我が国領海内での国際法上認められない「はいかい」等、我が国の主権を侵害する事案が発生している。また、東シナ海等の排他的経済水域において、中国による資源開発や我が国の同意を得ない海洋調査活動等、我が国の海洋権益を脅かす事案が発生している。
 海上保安庁では、我が国の領海における主権を確保するために領海警備を的確に実施していくことに加え、排他的経済水域における我が国の海洋権益の保全に努めている。

(2)領海及び排他的経済水域における海洋調査の推進及び海洋情報の一元化
 我が国の領海及び排他的経済水域には、調査データの不足している海域が存在している。海上保安庁では、この海域において、海底地形、地殻構造、領海基線等の海洋調査を重点的に実施し、船舶交通の安全や我が国の海洋権益の保全、海洋開発等に資する基礎情報の整備を推進している。また、総合海洋政策本部の総合調整の下、海洋情報の所在を一元的に収集・管理・提供する「海洋情報クリアリングハウス」の運用を行っている。

(3)大陸棚の限界画定に向けた取組み
 平成20年11月、我が国は、国連海洋法条約に基づき、我が国周辺の200海里を超える大陸棚に関する情報を「大陸棚の限界に関する委員会」へ提出した。
 海上保安庁では、総合海洋政策本部の総合調整の下、関係省庁と連携して同委員会における審査に対応している。

(4)沖ノ鳥島・南鳥島における取組み
1)沖ノ鳥島の保全
 沖ノ鳥島は、我が国最南端の領土であり、国土面積を上回る約40万km2の排他的経済水域の権利の基礎となる極めて重要な島であることから、国土保全・利活用の重要性にかんがみ、国の直轄管理により十全な措置を講じるとともに、その前提の上に可能な利活用策を検討している。

2)沖ノ鳥島・南鳥島における活動拠点の整備
 平成22年6月に施行された「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律(低潮線保全法)」等に基づき、海洋資源の開発・利用、海洋調査等に関する活動が安全かつ安定的に行われるよう、南鳥島において、船舶の係留・停泊・荷さばき等が可能な活動拠点の整備を進めている。また、沖ノ鳥島においても、今後、同様の整備を進めていく。
 
図表II-6-5-5 遠隔離島における活動拠点の整備等
図表II-6-5-5 遠隔離島における活動拠点の整備等


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む