第2章 くらしとしごとの再生
(1)序
地域の再生は、くらしとしごとの条件整備がなされて初めて可能になる。くらしの視点からは、「地域包括ケア」や「学校の機能拡大」が重要である。
保健・医療、介護・福祉サービスを一体化して、被災した人々を「つなぐ」と同時に、それを雇用創出に結びつける。そして高度医療を担う人材を被災地において育成し、新たなコミュニティづくりの一翼を担ってもらう。この被災地における取組は、「地域包括ケアモデル」として、やがて全国に広く展開される試みに連なっていく。
「減災」の考え方から言っても、「学校施設」の機能強化は大切である。施設自体が災害時の避難場所や防災拠点となるのは無論のこと、学校を新たな地域コミュニティの核となる施設として拡充していかねばならない。教職員を始め、児童・生徒そして地域住民が、「減災・防災教育」を通じて、あらためて地域の特性を知り、いざという時に「逃げる」までの道程を学ばねばなるまい。こうした教育こそが、人と人とを「つなぐ」地域における絆を確固としたものに育て、果ては地域における文化の復興にまでつながっていく可能性を有する。そして、学校が地域コミュニティの核となることもまた、広く展開する潜在的可能性を秘めている。
次いで、しごとの視点からは、やはり様々な産業の再生にあたって、まずは従来の制度や枠組の積極的活用を図らねばならない。復興に際して、新たな取組によって、地域ごとに応用可能なモデルを提供していく。その際注意すべきは、インフラの整備やエネルギーの多様化についても、必ずや、いくつかの要素をうまく組み合わせることによってより大きな効果を生み出すものであり、そのように工夫することにある。
実はここにも「つなぐ」発想が現れている。一つ一つの要素をそれだけにせず、機能的にまさに「つなぐ」ことが重要だからである。