3 国際観光の振興 (1)我が国観光魅力の海外への発信  訪日外国人旅行者数を将来的に3,000万人、平成25年までに1,500万人、28年までに2,000万人、31年までに2,500万人にするとの目標を達成するため、日本の観光魅力を海外に発信するビジット・ジャパン事業を展開している。  ビジット・ジャパン事業では、訪日旅行者数の多い12の国・地域(韓国、台湾、中国、香港、タイ、シンガポール、豪州、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス)を対象市場としていたが、22年度からは、今後の成長が見込める市場として、インド、ロシア、マレーシアを新たに対象市場に加え、全15市場において、プロモーションを展開している。なかでも、中国、韓国、台湾、香港の東アジア4市場を最重点市場と位置付け、広告宣伝を中心に予算を大幅に拡充して、プロモーション展開を行った。  プロモーションは、旅行目的地としての日本を知ってもらうことを目的とした我が国観光魅力の情報発信である認知度向上事業と実際に訪日旅行に結びつけることを目的とした誘客事業に大別され、前者においては、ウェブサイトにおける情報発信、外国のメディアにおける広告宣伝、外国で開催される旅行博覧会等での日本ブースの出展等を行い、後者においては、外国の旅行会社の日本への招請、商談会の実施、訪日旅行商品の共同広告等を行っている。  また、22年4月には、訪日観光プロモーションの新たなキャッチフレーズ・ロゴとして、「尽きることのない感動に出会える国、日本」といったコンセプトの下、「Japan. Endless Discovery.」を導入し、あわせて、東アジア市場でのテレビや紙媒体等を使った海外プロモーションにおいて、日本の顔として活躍する「観光立国ナビゲーター」に人気アイドルグループ「嵐」を起用した。さらに、市場別の取組みとして、例えば、リピーターの多い韓国市場においては、J-ROUTEと銘打ち、旅行者のニーズに合わせた新たな訪日旅行ルートを様々な広告媒体を活用してPRするなど、市場の特性も踏まえたきめ細かいプロモーション活動を実施した。 (2)MICE(国際会議等)の開催・誘致の推進  これまで国際会議の開催・誘致を中心に取り組んできたが、企業等の会議、企業の行う報奨・研修旅行、イベント、展示会・見本市等を含めた広義の国際会議(MICE注)も、訪日外国人旅行者の増大、経済効果、地域の国際化・活性化等に大きな意味を持っている。  そこで、国際会議だけでなくMICE全般を振興していくため、「MICE推進アクションプラン」を着実に実施することにより、MICEの開催・誘致を積極的に推進している。  特に、22年はMICE元年として、「Japan MICE Year」と定め、我が国がMICEの開催適地であることを集中・積極的に海外に向けてアピールするとともに、国内的にまだ浸透しているとは言い難いMICEの意義等について広く国民に啓発するなど、MICEの推進に取り組んだ。 「Japan MICE Year」ロゴマーク及びキャッチフレーズ (3)外国人観光客の受入れ体制の確保  公共交通事業者等の取組みとして、主に都市部の地下鉄等において、路線名と駅名にアルファベットや数字を併記するナンバリング(番号制)が導入されるなど、外国人旅行者の利便性の向上が図られている。また、交通拠点から目的地(主要観光地等)までの行程において、外国人旅行者に言語面での障害を感じさせないよう、交通拠点における電子看板等の案内表示に加え、交通機関内での車内放送等、様々な手段を用いて、点から線への多言語対応等を実施しており、平成22年度は、全国13地域において言語バリアフリーな移動環境の実現を図った。  また、22年度は、国・地方公共団体・民間事業者等が十分に連携しつつ、外国人旅行者の受入環境の整備・充実を総合的に推進することにより、外国人旅行者の移動等の容易化及び満足度の向上を図る必要があるため、外国人旅行者受入の中核的な役割を担うべき戦略拠点を定めるとともに、官民連携による受入環境整備のための事業を全国5都市で実施することにより、具体的な効果分析と課題抽出を行った。  外国人旅行者に対する接遇の向上を図り国際観光振興に寄与するため、報酬を得て、外国人旅行者に対し、通訳案内を行う通訳ガイドについては、「通訳案内士法」に基づき、通訳案内士試験を実施しており、22年4月現在、通訳案内士登録者数は14,559人となっている。また、訪日外国人旅行者数3,000万人時代に対応した受入環境整備のため、通訳案内士制度のあり方について検討を行っており、通訳案内士以外の者による有償ガイド行為を可能とするための特例措置を規定した「総合特別区域法案」を第177回国会に提出した。  他方、「国際観光ホテル整備法」に基づき、ハード・ソフトの両面から見て外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行っており、同年12月末現在、1,020軒のホテル及び1,672軒の旅館が登録されている。 注 企業等の会議(Meeting)、企業の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive(Travel))、国際会議(Convention)、イベント、展示会・見本市(Event/Exhibition)の頭文字