6 地域の移動手段の確保 (1)地域の生活を支える公共交通の活性化  地域公共交通は経済社会活動の基盤であり、住民の移動手段の確保、地域活性化、地球環境問題への対応等我が国の重要な諸課題への的確な対応のためにも、その活性化・再生は喫緊の課題となっている。こうした状況を踏まえ、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を活用し、鉄道、コミュニティバス・乗合タクシー、旅客船等の多様な事業に取り組む協議会に対し、パッケージで一括支援する「地域公共交通活性化・再生総合事業」を拡充することにより、地域の創意工夫ある自主的な取組みを積極的に支援している。平成22年度は、調査事業(連携計画注1策定のための調査等)84件、計画事業(連携計画に位置付けられた事業を実施する事業)352件、合計436件の認定を行った。 図表II-3-2-5 地域公共交通活性化・再生総合事業の事業例 (2)地域鉄道の安全確保等への支援  地域鉄道注2は、地域における住民の足として、また、地域経済の発展のために重要な役割を果たしているが、その経営は極めて厳しい状況にある。このため、地域鉄道事業者が行う安全性の向上に資する設備整備等に対して輸送対策補助金や税制上の特例措置により支援をしている。 (3)地方バス路線への補助  地域住民、特に自らの交通手段を持たない高齢者や学童等の移動制約者にとって必要不可欠な公共交通機関である乗合バスの路線維持・確保は、重要な課題となっている。このため、国と地方の役割分担の下、国は生活交通路線注3に重点化して、維持対策費の補助を行っている。それ以外の路線については、地方公共団体の判断により維持を図ることとし、所要の財政措置が講じられている。 (4)離島との交通への支援  離島航空路については、離島の航空輸送の確保を図るため、離島に就航する航空運送事業者に対して、機体購入費補助、運航費補助、衛星航法補強システム(MSAS)受信機購入費補助、着陸料の軽減、航空機燃料税及び固定資産税についての軽減措置を実施している。さらに、平成23年度税制改正において、航空機燃料税、固定資産税の軽減拡充を図ったところである。  離島航路の維持・改善を図るため「離島航路整備法」に基づく欠損補助を行うとともに、増大する欠損を抑制し持続的な航路運営を図るため、離島航路構造改革補助により、関係者による航路改善協議会の設置、公設民営による船舶建造への支援等を通じて、積極的に航路構造改革を行う離島航路事業者に対し支援を行っている。また、地域公共交通活性化・再生総合事業により、離島航路における需要喚起や実証運航、旅客施設や船舶の利便設備の更新・改造等の支援を行った。なお、21年度の離島航空路線の数は64路線、離島航路数は、22年4月1日現在で309航路(うち国庫補助航路119航路)となっている。 注1 「地域公共交通活性化及び再生に関する法律」に基づく、地域公共交通の活性化及び再生を総合的かつ一体的に推進するための計画(「地域公共交通総合連携計画」) 注2 「中小民鉄」、「転換鉄道(旧国鉄のローカル線から第三セクター等で引き継がれた鉄道)」、「地方鉄道新線(国鉄時代の工事凍結路線のうち、工事が再開され、開業後第三セクターが経営を引き継いだ鉄道)」、「並行在来線(整備新幹線の開業により、JR会社から分離された新幹線と並行して走行する在来線)」の4つを指す。 注3 地域協議会で維持・確保が必要と認められ、国が定める基準(複数市町村にまたがり、キロ程(バス路線の起点から終点までの距離)が10km以上、1日の運行回数が3回以上等)に該当する広域的・幹線的なバス路線