(3)世界に開かれた復興  今回の大震災においては、米軍をはじめとする国際的支援が大きな役割を果たし、われわれは大きな感謝の念を抱いた。このような世界から示された共感を基盤に、わが国は、力強いすみやかな復興を進め、さらに魅力的な国として再生しなければならない。震災により、国際的な供給網(サプライチェーン)が大きく傷ついたことは、わが国と世界との深いつながりを内外の人々にあらためて気づかせた。そこで、わが国は、国際社会との絆を強化し、内向きでない、世界に開かれた復興を目指さなければならない。 1) 日本再生に関する内外の理解促進  今回の大震災は、科学技術の限界を再認識させるとともに、震度7の激震でも倒壊しない建築物や脱線しない新幹線の例に見られるように、科学技術の重要性も示した。  原発事故の一刻も早い収束を前提としつつ、科学的根拠を持った一次データの公開など、正確な情報発信や継続的な情報開示により、風評被害の払拭に努めるべきである。  復旧・復興過程の進捗、日本産品や日本への渡航の安全性について、海外に対する的確かつ迅速な情報発信を、これまで以上に積極的かつきめ細やかに行う必要がある。  また、世界から人々を呼び寄せることにより、安全・安心な国、確かなものづくり、高度な科学技術といったわが国が持つ魅力を再び強調し、「クールジャパン」を推進するなどにより、日本ブランドの信頼性を回復することが望まれる。  震災を機に生まれた世界の人々とのつながりを維持・発展させるため、被災地と諸外国が青少年の交流や経済活動などの分野で、交流を進めることが重要である。このため、被災地と諸外国の要望を一元的に調整する仕組みを構築するほか、教育機関に国際性をもたらす外国人留学生に対して、適切な災害情報を提供するなど支援を強化する。 2) 世界に開かれた経済再生  復興には、諸外国のさまざまな活力を取り込むことが必要である。  そのための一つの手立ては、外国からの投資促進である。特に、国際的にも魅力的な環境を整備することにより、国際的な企業が、わが国に研究開発拠点やアジア本社機能を設置することを促進することが望まれる。  震災を契機に外国人研究者や技術者の日本離れが懸念される。優れた技術・知識を有する外国人へのポイント制活用による出入国管理上の優遇制度注の導入や雇用・生活環境の整備を推進し、わが国の活力となるべき外国人の受け入れを促進する。  同時に、日本産品の市場を、日本国内のみならず、アジアをはじめ世界に広く求めていかなければならない。引き続き自由貿易体制の推進により、日本企業および日本産品の世界における平等な競争機会の確保に努めるほか、被災地産品の海外での販路拡大を図ることによって、被災地の雇用の創出や経済の発展を促進する。 注 「ポイント制活用による出入国管理上の優遇制度」とは、職歴や研究実績等をポイント化し、一定のポイントを取得した外国人に対し、在留期間の延長といった優遇措置を付与するものである。