第4節 多国間・二国間交渉等を通じた取組み 

2 二国間交渉を通じた主な取組み

(1)二国間のEPA/FTA(経済連携協定自由貿易協定)締結への対応
 我が国は「包括的経済連携に関する基本方針」(平成22年11月9日閣議決定)に基づき、幅広い国々と高いレベルの経済連携を戦略的かつ多角的に進めていくこととしている。現時点では、世界の国・地域と13のEPA/FTAが発効している。我が国の運輸、建設業等の国際競争力の強化及び海外展開の推進の観点から、相手国における外資規制の撤廃・緩和等のサービス分野の自由化、相手国の政府調達に関する市場開放及び参加機会の拡大を推進するとともに、人的交流拡大の観点から、相手国との観光分野における二国間協力にも取り組んでいる。

(2)各分野における二国間の取組み
1)交通分野での取組み
 日EU間では環境、航空・鉄道の安全確保、ITS等、日英間では鉄道・海事分野等、日仏間では鉄道、集約型都市構造、ITS等、日ベトナム間では高速道路、鉄道、港湾、航空等、日インド間では都市開発、ITS等、日中及び日韓間では道路、環境、物流、公共交通等、様々な内容について定期的に協議・交流を実施している。日インドネシア間では、両国の関係省庁で締結された首都圏投資促進特別地域構想(MPA)に関する協力覚書や、交通分野における協力覚書に基づき、ジャカルタ首都圏等のインフラ整備、政策等についての定期的な対話を行い、連携・協力を推進している。また、高度道路交通システム(ITS)分野では、日米間に加え日欧間で協力覚書を締結し、今後の研究開発、普及促進に向けた協力体制を構築するとともに、日米欧の三極による定期的な会合を開催し、連携・協力を進めている。

2)河川・砂防分野での取組み
 韓国、中国、フランス、イタリア及び米国との間で二国間会合を開催し、情報交換、技術協力等を推進している。

3)下水道分野での取組み
 覚書に基づき、ベトナムにおいては、ホーチミン市で大阪市の協力で浸水対策プロジェクトを、キエンザン省フーコック島では神戸市の協力で上下水道整備及び下水再生水利用プロジェクトの調査を行っている。インドネシアにおいては、再生水ビジネスの展開を図るため、日本企業が再生水利用プロジェクトを調査中のバリ州をモデルとして、二国間の水質基準検討会議を実施している。南アフリカでは、平成23年9月に南アフリカ水省と署名した共同決議に基づき、アセットマネジメント等の具体的なプロジェクトを模索していくことで一致した。サウジアラビアにおいては、同年9月に締結したサウジアラビア水・電力省との覚書に基づき、再生水利用や非開削工法等のプロジェクト形成を図っている。カタールでは、経済関係深化に係る共同声明に基づき、24年1月に官民共同でセミナーを開催し、先進的な技術力・マネジメント力を有する日本企業のPRを行った。

4)海上保安分野での取組み
 米国、ロシア、中国、韓国、インドの海上保安当局との間の協力文書に基づき海上治安、捜索救助、海洋環境保全等の連携・協力を進めている。

5)測量・地図分野での取組み
 韓国及び中国との科学技術協力協定に基づき、二国間会議を開催し、測地測量、地図作成及び地理情報に関する技術協力、共同研究及び情報交換等を行っている。

6)住宅・建築分野での取組み
 韓国、中国、フランス及びカナダとの間で定期的に二国間会合を開催し、住宅政策、建築基準、建築技術等に関する情報交換等を行っている。

7)国土政策分野での取組み
 韓国との間で二国間会議を毎年開催し、情報交換及び意見交換を行っている。

8)研究分野での取組み
 我が国の優れたインフラ関連技術等のアジア諸国への普及を見据えて、ベトナム、インドネシア、インド等との研究連携ロードマップに基づき、現地適応性を高めた環境舗装等の建設技術の基準類の共同開発等を行っており、共同ワークショップや国際シンポジウムの開催、現地JICA専門家との連携、中堅・若手研究者の招へい等を推進している。

 

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