6 地域の移動手段の確保 (1)地域の生活交通の確保・維持・改善  生活交通の存続が危機に瀕している地域等において、地域の特性・実情に最適な移動手段が提供され、また、バリアフリー化やより制約の少ないシステムの導入等移動に当たっての様々な障害(バリア)の解消等がされるよう、平成23年度予算において地域公共交通確保維持改善事業を創設し、地域の多様な関係者による議論を経た地域の交通に関する計画等に基づき実施される取組みを支援している。 図表II-3-2-5 地域公共交通確保維持改善事業 (2)地域鉄道の活性化、安全確保等への支援  地域鉄道は、地域における住民の足として、また、地域経済の発展や観光振興のために重要な役割を果たしているが、その経営は極めて厳しい状況にある。このため、地域鉄道の利用促進を図るべく、利便性向上に資する施設整備に対して、幹線鉄道等活性化事業費補助により支援を行っている。また、安全性の向上に資する設備整備等に対して地域公共交通確保維持改善事業費補助金(鉄道軌道安全輸送設備等整備事業)や税制上の特例措置により支援を行っているほか、技術力の維持・継承のための体制づくりや省力化等に資する技術開発を支援している。 (3)地域バス路線への補助  地域住民、特に自らの交通手段を持たない高齢者や学童等の移動制約者にとって必要不可欠な公共交通機関である乗合バス等の生活交通の確保・維持は、重要な課題となっている。このため、国と地方の役割分担の下、国は地域特性や実情に応じた地域最適な生活交通ネットワークの確保・維持が可能となるよう、生活交通(地域をまたがる幹線バス交通ネットワーク注1や、幹線交通ネットワークと密接な地域内のバス交通・デマンド交通注2等)の運行について一体的に支援することとしている。それ以外の路線については、地方公共団体の判断により維持を図ることとし、所要の財政措置が講じられている。 (4)離島との交通への支援  離島航空路については、離島の航空輸送の確保を図るため、離島に就航する航空運送事業者に対して、機体購入費補助、運航費補助、衛星航法補強システム(MSAS)受信機購入費補助、着陸料の軽減、航空機燃料税及び固定資産税についての軽減措置を実施している。なお、運航費補助については、平成23年度より支援方策を見直し、「地域公共交通確保維持改善事業」により支援を行っている。  離島航路については、23年度に創設された「地域公共交通確保維持改善事業」の中で、運営費補助の全体の補助充足率を拡充するとともに島民向け運賃割引への助成も新たに盛り込み、離島航路への支援の充実を図ったところである。また、「地域公共交通活性化・再生総合事業(23年度限りの経過措置)」により、離島航路における需要喚起や実証運航、旅客施設や船舶の利便設備の更新・改造等の支援を行った。なお、22年度の離島航空路線の数は66路線、22年度末現在の離島航路数は307航路(うち国庫補助航路120航路)となっている。 注1 協議会で維持・確保が必要と認められ、国が定める基準(複数市町村にまたがり、1日の運行回数が3回以上等)に該当する広域的・幹線的なバス路線 注2 利用者の個別の需要(デマンド)に応じて、需要を集約した上で、ドア・ツー・ドア型輸送サービスを提供する形態の乗合輸送