2 効率的な物流システムの構築のための施策 (1)物流における情報化の推進  物流分野では、取引の効率化、渋滞の回避、物流に関係する行政手続の最適化等、多様な側面においてICTの導入を的確に推進することが重要である。例えば、輸出入及び港湾関連の行政手続に関する「次世代シングルウィンドウ」を稼働し、平成22年2月には空港入出港手続を追加するなど、より利便性の高い電子申請システムの構築に取り組んでいる (2)地域間物流の効率化  複合一貫輸送等物流の効率化に向けて、貨物輸送力の増強や港湾・貨物駅等の物流結節点の整備等を進めている。鉄道貨物の輸送力増強のための施設整備については、平成23年3月に北九州・福岡間で事業が完了し、首都圏等と福岡との間において長編成コンテナ列車の直通運転が可能となった。今後は引き続き、隅田川駅において鉄道貨物輸送力増強事業を推進する。また、東京港等で海上輸送と他の輸送モードとの連携強化のため、複合一貫輸送ターミナルの整備等を実施している。  トラック輸送の効率化に向けて、主要都市間等を連絡する高規格幹線道路、大都市圏環状道路をはじめとした基幹道路ネットワークを整備するとともに、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」に基づき、総合効率化計画注1に関する認定制度により税制措置等の支援を行っている。24年3月末時点で同法に基づく計画の認定は168件である。 (3)都市内物流の効率化  地球温暖化問題、コンパクトシティの形成、大規模複合ビルの増加等を背景に、都市内物流の効率化が課題となっている。  「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づき、平成24年3月末までに22都市、29箇所の流通業務市街地注2の整備が行われ(うち27箇所が稼働中)、流通業務施設の適切かつ集約的な立地により都市の流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図っている。  また、路上荷捌き駐車を削減するため、駐車場附置義務条例に荷捌き施設を位置付けるよう地方公共団体に促している。23年3月末現在で、87の地方公共団体において、一定の商業施設等への荷捌き施設の設置義務付けを内容とする条例改正が実施された。  このほか、交通流対策を推進するため、環状道路等幹線道路ネットワークの整備、交差点の立体化、開かずの踏切の解消等を図るとともに、積載効率の向上を目的としたトラックの自営転換注3等のソフト施策を併せて推進している。 (4)新たな物流サービスの取組み  荷主企業の本業への経営資源集中や、高度化・多様化する物流ニーズへの対応の必要性等を背景に、新たな物流サービスである3PL注4事業への物流事業者の進出が増加している。  3PL事業を更に促進するために、3PL人材育成研修の実施や、「地方における3PL事業ビジネスモデル」等を国土交通省ホームページで公開し、物流事業者が3PL事業に進出しやすい環境の整備を図っている。 注1 高速道路のインターチェンジ、港湾等の社会資本の近傍に立地する物流施設を中核として、輸送網の集約・輸配送の共同化等を図りつつ、自動ラックや情報システム等の機器を導入し、物流の総合化・効率化を行う計画 注2 トラックターミナル、倉庫等の物流関連施設が集約的に立地した大規模物流拠点として、高速道路インターチェンジ周辺部等の適地に建設された市街地 注3 自家用トラック(自家用貨物を自ら運ぶトラック)から、複数荷主の積合せ貨物の運送等によって輸送効率の向上を図り、運送コストを低下させるため営業用トラック(他人からの依頼に応じ、貨物を有償で運ぶトラック)へ転換すること 注4 サード・パーティー・ロジスティクス:荷主から物流を一貫して請け負うサービス