1 災害に強い安全な国土づくり・危機管理に備えた体制の充実強化 (1)水害対策  平成23年3月の東日本大震災では多くの人命・資産が失われ、住民の生活や経済活動等に甚大な被害が発生した。また、7月の新潟・福島豪雨、9月の台風第12号及び台風第15号ではいずれも1,000ミリを超える雨量が記録されるなど、各地で甚大な水害・土砂災害が発生した。特に台風第12号では、紀伊半島において降りはじめからの総降水量が多い所で1,800ミリを超え、複数の箇所で河道閉塞注1が発生し、下流域の住民の安全が脅かされた。  我が国の大都市の多くは洪水時の河川水位より低い低平地に位置しており、洪水氾濫に対する潜在的な危険性が極めて高い。これまで、洪水を安全に流下させるための河道の拡幅、築堤、放水路の整備や、洪水を一時的に貯留するダム、遊水地等の治水対策を進めてきたことにより、治水安全度は着実に向上してきているが、大規模災害についても的確に対応するため、東日本大震災から得られた教訓である「災害に上限はない」こと、「人命が第一」であることの重要性を再認識し、ハード・ソフト施策を適切に組み合わせた防災・減災対策をより一層推進する。 1)予防的な治水対策  いったん水害が発生すると、その復旧・復興に多大な時間と費用を要するだけではなく、社会経済活動にも大きな影響を与えることから、それを未然に防止する予防的治水対策が重要である。そのため、河川整備基本方針等に基づき、築堤、河道掘削、ダム、放水路等の治水施設の整備を計画的に実施している。また、既存ダムの再開発や複数ダムにおける容量再編等により既存施設の有効活用にも取り組んでいる。さらに、既設の堤防については、洪水時における浸透破壊や侵食に対して安全性が不十分なものについて、強化対策を推進している。  高規格堤防は、施設の計画規模を上回る洪水に対しても決壊しない堤防であり、また、まちづくり事業と一体となって、地域住民の人命を守る安全で良好な住環境を形成するとともに、広域避難場所の確保につながるものである。なお、高規格堤防については、平成22年10月の事業仕分けを踏まえ、一旦白紙にしてゼロベースで検討を行い、「人命を守る」ということを最重視し、そのために必要な区間として「人口が集中した区域で、堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間」としたところである。引き続き、円滑な事業推進を図るための諸方策を検討することとしている。 図表II-6-2-2 治水安全度等の国際比較 図表II-6-2-1 平成13年〜22年 水害・土砂災害の発生件数 2)水害の再度災害防止対策  近年、甚大な水害を受けた地域においては、同規模の洪水で再び被災することがないよう、河川の流下能力を向上させるための河道掘削や築堤等の実施、内水氾濫を防ぐための排水機場の整備等の対策を短期集中的に実施し、洪水への不安解消に努めている。 3)流域の特性等を踏まえた様々な治水対策  我が国の国土はそもそも災害に脆弱な構造であるが、近年気候変動による海面の上昇や豪雨の発生頻度の増加等、新たなリスクが増加している。これらに対応するため、地域の特性を踏まえた多様な手法により安全・安心の確保を図っている。 (ア)総合的な治水対策  近年の都市部及び都市周辺地域の開発の進行に伴う人口の集中、洪水時の河川への流出量の増大等により、治水安全度の低下が著しい都市河川においては、河川の整備に加えて流域の持つ保水・遊水機能の確保、災害の発生のおそれのある地域での土地利用の誘導及び警戒避難体制の確立等の総合的な治水対策が重要である。その一環として雨水貯留施設の整備を促進するため、流域貯留浸透事業等により、地域の関係主体が一体となって、雨水の流出抑制や民間による被害軽減対策を推進している。  さらに、都市部において浸水による都市機能の麻痺や地下街の浸水被害を防ぐため、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が協働して、雨水貯留浸透施設の整備、雨水の流出の抑制のための規制等の流域水害対策を推進している。 図表II-6-2-3 樋井川における100ミリ/h安心プランに基づく対策事例 (イ)局地的な大雨(ゲリラ豪雨)への対応  1時間に50ミリ、100ミリを超えるような局地的な大雨に対して、国民が安心して暮らせるよう、河川管理者が実施する河川整備や調節池等の対策、下水道の整備及び住民が行う住宅敷地内への貯留浸透施設の設置等地域ごとの集中的な対策と役割分担を定めた「100ミリ/h安心プラン」を策定し、地域における総合的な豪雨対策を推進している。 (ウ)土地利用と一体となった減災対策  土地利用状況等により、連続した堤防を整備するのに比べて効率的かつ効果的な場合には、輪中堤の整備等と災害危険区域の指定等による土地利用規制とを組み合わせる土地利用と一体となった減災対策を地方公共団体等と協力して推進している(平成24年度は4河川で実施)。 (エ)内水対策  内水氾濫による浸水を排除し、都市等の健全な発達を図るため、下水管や排水機場等の整備を進めている。しかしながら、近年の計画規模を大きく上回る集中豪雨の多発、都市化の進展による雨水流出量の増大、人口・資産の集中や地下空間利用の拡大等による都市構造の高度化等により都市部等における内水氾濫の被害リスクが増大している。このため、下水道浸水被害軽減総合事業や総合内水緊急対策事業等を活用し、地方公共団体・関係住民等が一体となって、雨水流出抑制施設を積極的に取り入れるなどの効率的なハード対策に加え、降雨情報の提供、土地利用規制や内水ハザードマップの作成等のソフト対策、止水板や土のう等の設置や避難活動といった自助の取組みを組み合わせた総合的な浸水対策を推進している。 4)ハード対策と一体となったソフト対策 (ア)ハザードマップ等の整備・周知  水害に対する危険性を周知し、効果的な住民の避難の確保を図るとともに適正な土地利用を促すため、「水防法」に基づき、河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域(浸水想定区域)を指定し、想定される浸水の深さ等を公表している。  また、洪水はん濫が発生した場合でも住民が円滑かつ迅速な避難行動がとれるよう、浸水に関する情報や、避難場所、避難経路等の避難に関する情報を住民に周知するため、洪水ハザードマップを作成する市町村に対し、「洪水ハザードマップ作成の手引き」の公表や全国の河川事務所等に設置している災害情報普及支援室による作成や周知の技術的支援等を推進するとともに、国土交通省のホームページ上に全国の洪水ハザードマップを検索閲覧できるインターネットポータルサイト注2を開設している。  浸水想定区域については、対象河川の約98%の河川で指定・公表済みであり、洪水ハザードマップについては、浸水想定区域内の約96%の市町村で作成済みである(平成22年度末現在)。 (イ)洪水時の予報・警報の発表や河川情報の提供  国土交通大臣又は都道府県知事は、流域面積が大きい河川で洪水等によって国民経済上重大又は相当な損害が生じるおそれのある河川を洪水予報河川として指定し、気象庁長官と共同して水位又は流量を示した洪水予報(はん濫注意情報・はん濫警戒情報等)の周知等を行っている。また、平成17年の「水防法」の改正により、国土交通大臣又は都道府県知事は洪水予報河川以外の主要な中小河川を水位周知河川(水位情報周知河川)として指定し、避難勧告発令の目安となる避難判断水位(特別警戒水位)への到達情報の周知等を行っている。24年3月1日現在、洪水予報河川は407河川、水位周知河川は1,522河川が指定されている。また、「水防法」に基づき、市町村が災害時要援護者関連施設及び地下街等への洪水予報等の伝達方法を定めるに当たり、都道府県と連携して支援を行っている。なお、24年3月現在、581市区町村において対象となる災害時要援護者関連施設が、64市区町村において対象となる地下街等が、市町村地域防災計画に定められている。  「川の防災情報」注3において、水位・雨量、洪水予報、水防警報等の河川情報をリアルタイムに収集、加工・編集し、河川管理者、市町村、住民等に提供を行っており、洪水時の警戒や避難等に役立てられている。  近年、増加する集中豪雨や局所的な大雨(いわゆるゲリラ豪雨)による水害や土砂災害等に対して、適切な河川管理や防災活動等に役立てるために、局所的な雨量をリアルタイムに観測可能なXバンドMPレーダ注4の整備を進めている。22年7月より一般配信中の関東、富山・石川、中部、近畿の4地域に加え、栗駒山周辺、新潟、岡山、広島、九州北部、桜島周辺の6地域については23年7月より、静岡地域については23年9月より、それぞれ試験運用による降雨観測情報の一般配信を開始した。  また、地上デジタル放送による水位・雨量情報の提供について、22年に九州全域で開始され、23年には三重県、大阪府、兵庫県、奈良県、沖縄県において開始されるなど、きめ細やかな河川情報の提供を推進し、情報機器操作に不慣れな住民等の迅速かつ的確な避難判断や避難行動に役立っている。 5)水防体制の強化  都道府県や水防管理団体と連携し、出水期前に堤防等の合同巡視や情報伝達訓練、水防技術講習会、水防訓練等を実施し、水防上特に注意を要する箇所の周知や水防技術の習得を図るなど、人命と財産を守り、被害を最小限にとどめるための水防体制の強化に向けた支援を行っている。  東日本大震災を踏まえて「水防法」を改正し、「水防法」の目的に「津波」を明記し、水防計画については、津波の発生時の水防活動等危険を伴う水防活動に従事する者の安全の確保が図られるように配慮されたものでなければならないことと定めた。また、著しく激甚な災害が発生した場合には、国土交通省自らが浸入した水の排除等の水防活動を行うことができることとした「特定緊急水防活動」を創設した。 6)河川の戦略的な維持管理  整備された河川管理施設等が洪水時等に本来の機能を発揮することができるよう、河川や施設等の状況を把握し、その変化に応じた適切な維持管理を実施している。  これまで河川整備が進められてきた中で、堤防、堰、水門、排水機場等の管理対象施設が増大し、更にそれら構造物の老朽化が進行している。このような状況下で、河川を一層効果的・効率的に維持管理していくために、平成23年5月に「河川砂防技術基準維持管理編(河川編)」を策定し、当該技術基準に基づいて河川ごとに河川維持管理計画を作成し、維持管理を行う計画型管理へ本格的に移行した。  また、23年6月に河川構造物に関する長寿命化及び更新に関する施策として当面取り組むべき方向を「河川構造物長寿命化及び更新マスタープラン」として取りまとめた。今後の維持管理では、点検等により劣化状態やその進行を監視して適切な時期に対策を行う状態監視型の保全手法への移行を図りつつ、計画的に施設の長寿命化や更新を図っていく。また、そのような保全を施設ごとにきめ細かく検討して進めていくために、小規模な施設を除き、長寿命化計画を策定していく。さらに、長寿命化のために必要な技術開発等を進めていく。  許可工作物についても同様に老朽化が進行している状況を踏まえ、設置者による適切な維持管理が進むよう、23年5月に「許可工作物技術審査の手引き」及び「許可工作物に係る施設維持管理技術ガイドライン(案)」を作成した。 (2)ダム事業の検証  平成22年9月に、全国の83のダム事業(84施設)を対象として、国土交通大臣から検討主体(関係各地方整備局等、(独)水資源機構、関係各道府県)に対し、ダム事業の検証に係る検討を行うよう、指示又は要請を行った。これは、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」における討議を経て取りまとめた「中間とりまとめ」を踏まえて、指示又は要請を行ったものであり、あわせて、検討の手順や手法を定めた「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」を通知した。これらに基づき、各検討主体において、「関係地方公共団体からなる検討の場」の設置、複数の治水対策案の立案、各評価軸による評価等が進められている。24年3月現在で24のダム事業(24施設)について検証が終了し、うち継続が17(17施設)、中止が7(7施設)となっている。  これらのうち、八ッ場ダム建設事業については、我が国の中枢機能の集積地域でありながら洪水に対して脆弱な利根川流域の安全性を確保する上で重要かつ効果的な施設であるなどの認識の下、23年12月に対応方針を「継続」と決定している。 (3)土砂災害対策  我が国では、集中豪雨や地震等に伴う土石流、地すべり、がけ崩れ等の土砂災害が、過去10年(平成14年〜23年)の年平均で約1,000件以上発生しており、多大な被害が生じている。また、自然災害による犠牲者のうち、土砂災害によるものが大きな割合を占めている。このため、特に対策の必要な重点箇所に対する砂防施設整備や、自助、共助、公助による安全かつ的確な警戒避難体制の整備等、土砂災害による犠牲者を減らすための、ハード・ソフト一体となった効率的な土砂災害対策を推進している。 1)根幹的な土砂災害対策  荒廃した山地を源流域に持つ河川は、そこから流れ出す土砂により、流域全体にわたり甚大な被害をもたらすおそれがある。このような土砂災害から国土を保全し人命保護を図るため、砂防関係施設の整備を推進している。 2)土砂災害発生地域の緊急的な土砂災害対策  土砂災害発生箇所及び周辺地域を含めた集中的な砂防関係施設の整備により、近年、甚大な土砂災害が発生した地域の再度災害防止対策を推進している。 図表II-6-2-4 土砂災害による死亡・行方不明者に占める災害時要援護者の割合(平成19〜23年) 3)災害時要援護者を守る土砂災害対策  病院、老人ホーム、幼稚園等の災害時要援護者関連施設が存在する危険箇所について、砂防堰堤等の土砂災害防止施設を重点的に整備している。  また、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」に基づき、土砂災害特別警戒区域等内への災害時要援護者関連施設等に係る開発行為の制限等を実施している。 4)市街地に隣接する山麓斜面における土砂災害対策  都市域における土砂災害に対する安全性を高め、緑豊かな都市環境を創出するため、市街地に隣接する山麓斜面に一連の樹林帯(グリーンベルト)を形成することを推進している。平成23年度は、六甲地区(兵庫県)等13地区において実施している。 5)地域防災力向上に資する土砂災害対策  土砂災害により社会・経済的に壊滅的な被害が生じやすい中山間地域において、各集落における警戒避難体制の強化や、人命保全上重要な施設・防災基幹集落の保全を推進している。 6)土砂災害防止法の推進 (ア)土砂災害警戒区域等の指定の推進  「土砂災害防止法」に基づき、土砂災害が発生するおそれのある土砂災害警戒区域を指定し、当該区域における警戒避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害が発生するおそれのある土砂災害特別警戒区域において、特定の開発行為の制限、建築物の構造規制等のソフト対策を講じている。また、警戒避難体制の構築やハザードマップの作成のためのガイドラインや事例集を示し、市町村の土砂災害に対する警戒避難体制やハザードマップの整備を促進している。 (イ)危険住宅の移転の促進  崩壊の危険があるがけ地に近接した危険住宅については、がけ地近接等危険住宅移転事業の活用等により移転を促進している。平成23年度は、この制度により危険住宅32戸が除却され、危険住宅に代わる住宅21戸が建設された。 7)大規模な土砂災害への対応  河道閉塞(天然ダム)、火山噴火に伴う土石流、地すべり等といった大規模な土砂災害が急迫している状況において、市町村が適切に住民の避難指示の判断等を行えるよう、平成23年5月に改正「土砂災害防止法」を施行し、国及び都道府県が緊急調査を行い、その結果に基づき、土砂災害が想定される土地の区域及び時期の情報を市町村に提供することなどにより、土砂災害から国民の生命・身体の保護を図っている。 8)土砂災害警戒情報の発表  大雨による土砂災害発生の危険度が高まった時に、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、土砂災害警戒情報を都道府県と気象庁が共同で発表し、都道府県消防防災部局等を通じて市町村等に提供している。 図表II-6-2-5 土砂災害警戒情報 (4)火山砂防対策 1)活発な火山活動に伴う土砂災害への対策  噴火等の活発な火山活動に伴う火山泥流や土石流等の広域的かつ大規模な土砂災害への対策として、砂防堰堤等の整備を実施している。桜島では、平成21年より活発な噴火活動が続いており、弱い降雨強度及び少ない連続雨量でも土石流が発生する傾向があるため、継続的に監視・観測及び砂防堰堤の除石等を実施している。また、浅間山では中規模噴火がいつ発生してもおかしくない状況であり、今後、噴火活動が活発化した場合に、噴火活動に応じた機動的な対策を行うための直轄火山砂防事業を24年度より実施することとしている。霧島山(新燃岳)では、23年1月から噴火活動が活発になり、相当程度の降灰が確認されたため、改正「土砂災害防止法」に基づく緊急調査を実施し、土砂災害が想定される区域及び時期の情報を市町村へ提供した。さらに、火山ハザードマップについては、火山活動による社会的影響の大きい37火山を公表している。 写真 霧島山(新燃岳)の噴火状況(平成23年1月) 2)火山噴火緊急減災対策砂防計画の策定  火山噴火時の土砂災害による被害を軽減するため、関連機関と連携して火山ごとに、砂防堰堤の整備や緊急除石等の緊急ハード対策の施工やリアルタイムハザードマップによる危険区域の設定等の緊急対応等、ハード・ソフト対策からなる火山噴火緊急減災対策砂防計画の策定を推進している。 3)気象庁における取組み  火山噴火災害の防止と軽減のため、全国の火山活動の監視を行い、噴火警報等の迅速かつ的確な発表に努めており、火山噴火予知連絡会によって「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として選定された47火山については、観測施設を整備し、24時間体制で活動状況を監視している。また、各火山の火山防災協議会における避難計画等の共同検討を通じて、平成24年3月末現在、計29火山で噴火警戒レベルの導入・改善を進めている。 4)海上保安庁における取組み  海底火山の噴火の前兆として、周辺海域に認められる変色水等の現象を観測し、航行船舶に情報を提供している。また、海底火山噴火予知の基礎資料とするため、総合的な調査を実施し、海域火山基礎情報の整備を行っている。さらに、火山噴火の予知に資するため、南関東の離島において、GPSにより島しょ等の動きを監視している。 5)国土地理院における取組み (ア)火山活動観測・監視体制の強化  全国の活動的な火山において、電子基準点(GPS連続観測施設)、自動測距測角装置等の火山変動測量やGPS火山変動リモート観測装置(REGMOS)等による機動観測を実施し、地殻の三次元的な連続監視を行っている。さらに、平成22年度からは、他機関のGPS観測データを合わせた統合解析を実施し、火山周辺の地殻のより詳細な監視を行っている。23年1月から本格的なマグマ噴火がはじまった霧島山(新燃岳)においても火山活動の監視を行っている。 図表II-6-2-6 GPS連続観測が捉えた日本列島の動き (イ)火山噴火等に伴う自然災害に関する研究等  GPS、干渉SAR注5による地殻変動観測により火山活動の発生メカニズムを解明するとともに、観測と解析の精度を向上する研究を行っている。 (5)津波・高潮・侵食等対策 1)津波・高潮対策の推進  南海トラフ巨大地震等による大規模な津波・高潮災害に備え、海岸堤防整備等のハード対策や津波警報等の迅速かつ的確な発表等のソフト対策を合わせた総合的な津波・高潮対策を推進している。また、津波・高潮対策や海岸保全施設の老朽化対策について、平成23年度においては、海岸保全施設整備事業や社会資本整備総合交付金、地域自主戦略交付金により整備している。さらに、全国の「港則法」の特定港(84港)を中心に「船舶津波対策協議会」を設置しており、関係機関の協力の下、各港において船舶津波対策の充実を図っている。 2)高波災害への対応  平成20年2月の富山県等における激しい高波による浸水被害等の発生を受け、災害発生のメカニズムの検証や今後の対策のあり方等の検討を行い、ハード・ソフト両面にわたる高波災害対策に係る考え方を踏まえ、離岸堤の設置や水防警報海岸の指定の促進等、関連施策を推進している。 3)海岸侵食対策の推進  土砂供給量の減少、各種構造物の設置等による沿岸方向の土砂の流れの変化等、様々な要因により全国各地で海岸侵食が生じ、特に近年は早いペースで侵食が進行している。河川、海岸、港湾、漁港等の各事業者と連携し、異常堆積土砂の除去対策と併せ海岸侵食対策を推進している。 4)津波・高潮にかかる防災情報の提供  津波による災害の防止・軽減を図るため、気象庁は、全国の地震活動を24時間体制で監視し、津波警報、津波情報等の迅速かつ的確な発表に努めている。東日本大震災においては、国土交通省のGPS波浪計において津波による海面の急激な上昇を観測したことを受け、気象庁は、津波警報の対象となる区域の拡大や津波の高さ予想の引き上げを行った。この経験を踏まえ、平成23年度には、国土交通省のGPS波浪計4箇所、沿岸観測点2箇所の潮位データの津波情報への活用を新たに開始し、気象庁が監視するGPS波浪計の観測点は15箇所に、沿岸の観測点は173箇所になった。  高潮対策については、市町村の防災担当者がより的確な防災対応を実施できるよう、気象庁では高潮警報・注意報の市町村単位での発表を行っている。  また、東日本大震災を踏まえ、広帯域強震計整備による巨大地震の規模の早期把握等により、津波警報の改善を進めるとともに、被災者と被災地域の復興作業を支援するため、被災地域を対象に高潮等に関する情報の提供を行っている。  また、関係省庁と連携し、南海トラフ巨大地震等の大規模災害対策の1つとして津波・高潮ハザードマップの作成マニュアルや事例集を示している。 5)津波避難対策  将来、南海トラフ巨大地震をはじめとする巨大地震の発生による津波被害が懸念されることから、津波想定浸水域の都市圏におけるパーソントリップ調査等の都市計画の基礎的なデータを活用し、津波防災まちづくりの推進に資する基礎調査を実施するとともに、避難路、避難施設の適正な配置を評価するための方法の検討を行った。 (6)気候変動への対応  地球温暖化に関しては、気温が上昇し、大雨の頻度の増加、台風の強度の増大、海面水位の上昇、降雨の変動幅の拡大等が予測されているため、今後20年から30年の間に実施される緩和策の規模にかかわらず、洪水や土砂災害、高潮災害、渇水等の悪影響を低減するための適応策が必要である。治水対策や港湾政策においては、関係機関等が役割分担しつつ、長期的視点に立った予防的な施設の整備に加え、地域づくり、危機管理等を中心とした適応策の実施により、災害に適応した強靭で持続的な社会を目指していく。 (7)地震対策 1)住宅・建築物の耐震・安全性の向上  改正「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づき、国の基本方針において、住宅や多数の人が利用する建築物の耐震化率を平成15年の75%から27年までに少なくとも9割とする目標を定めるとともに、政府の「新成長戦略」及び「住生活基本計画」においては、住宅の耐震化率を32年までに95%とする新たな目標を定め、建築物に対する指導等の強化や計画的な耐震化の促進を図っている。23年度は、「減災」の考え方に基づき、「逃げる」という視点も含めた対策を実施した。重点的に耐震化が必要な緊急輸送道路沿道の住宅・建築物、避難路沿道の住宅・建築物、避難所等への耐震診断・耐震改修に対する支援を行っている。 2)宅地耐震化の推進  大地震時における盛土の滑動崩落による被害を軽減するため、新規盛土宅地については、改正「宅地造成等規制法」等により技術基準を強化しており、既存宅地については、宅地耐震化推進事業により、造成宅地防災区域の指定等に必要な調査や防止工事を実施している。 3)被災地における宅地の危険度判定の実施  宅地において、二次災害を防止し、住民の安全確保を図るため、被災後に迅速かつ的確に危険度判定を実施できるよう業務マニュアルを整備するなど、都道府県・政令市から構成される被災宅地危険度判定連絡協議会と協力して体制整備を図っている。 4)密集市街地の緊急整備  防災・居住環境上の課題を抱えている密集市街地の早急な整備改善は喫緊の課題である。平成23年3月に変更した住生活基本計画(全国計画)において、地震時等に著しく危険な密集市街地の面積を32年度までにおおむね解消することとしている。  この実現に向け、幹線道路沿道建築物の不燃化による延焼遮断機能と避難路機能が一体となった都市の骨格防災軸(防災環境軸)や避難地となる防災公園の整備、防災街区整備事業、住宅市街地総合整備事業等による老朽建築物の除却と合わせた耐火建築物等への共同建替え、避難や消防活動の向上を図る狭隘道路の拡幅等のきめ細かな対策等による、密集市街地の防災性の向上と居住環境の整備を推進している。 図表II-6-2-7 密集市街地の整備イメージ 5)オープンスペースの確保  防災機能の向上により安全で安心できる都市づくりを図るため、地震災害時の復旧・復興拠点、生活物資等の中継基地等となる防災拠点や周辺地区からの避難者や帰宅困難者を収容し、市街地火災等から避難者の生命を保護する避難地等として機能する防災公園等の整備を推進している。また、防災公園と周辺市街地の整備改善を一体的に実施する防災公園街区整備事業を西河原公園(大阪府)等9地域で実施している。 6)防災拠点となる官庁施設等の整備の推進  官庁施設については、来訪者等の安全を確保するとともに、大規模地震発生時に災害応急対策活動の拠点施設として機能を十分に発揮できるよう、総合的な耐震安全性を確保する必要がある。このため、官庁施設の耐震化の目標を定め、計画的かつ重点的に整備を推進しており、平成23年度は中央合同庁舎第1号館別館(霞が関地区)の耐震改修等を実施している。 7)公共施設等の耐震性向上  河川事業においては、いわゆるレベル2地震動においても堤防、水門等の河川構造物が果たすべき機能を確保するため、耐震点検を実施するとともに、必要な対策を推進している。  海岸事業においては、海岸耐震対策緊急事業により、ゼロメートル地帯等に地域中枢機能集積地区を有する海岸の耐震対策を緊急的に実施している。  道路事業においては、地震による被災時には、円滑な救急・救援活動、緊急物資の輸送、復旧活動に不可欠な緊急輸送を確保するため、緊急輸送道路等の重要な道路について、橋梁の耐震対策を実施している。  港湾事業においては、大規模地震発生時に避難者や緊急物資等の輸送を確保するため、基幹的広域防災拠点や耐震強化岸壁を整備するとともに、緊急輸送ルートに接続する臨港道路の耐震補強、緑地等のオープンスペースの整備を推進している。  空港事業においては、地震等被災時に緊急輸送の拠点となるとともに、航空ネットワークの維持、背後県経済活動の継続性確保において重要と考えられる航空輸送上重要な空港等について、必要な管制機能を確保するための庁舎等及び最低限必要となる基本施設等の耐震化等を実施している。  鉄道事業においては、阪神・淡路大震災の被害等を踏まえ、大規模地震において倒壊を防ぐため、高架橋柱や地下トンネルの中柱、複数路線が接続するなどの機能を有する主要な鉄道駅の耐震化を推進している。  下水道事業においては、地震時においても下水道が果たすべき機能を確保するため、防災拠点等と処理場とを接続する管きょや水処理施設等の耐震化を図る「防災」と被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を組み合わせた総合的な地震対策を推進している。 8)大規模地震に対する土砂災害対策  平成20年岩手・宮城内陸地震により発生した河道閉塞(天然ダム)への対策として、河道掘削等の応急対策に引き続き、21年度より直轄特定緊急砂防事業を実施している。  また、23年4月から開催した「今後の土砂災害対策を考える会」では、東日本大震災による被害等への対応の検討に加え、今後想定される東海地震や東南海・南海地震等大規模地震の発生の可能性が高まっている地域において、施設の耐震化、情報ネットワークの強化、重要交通網や生活インフラ、地域の防災拠点、避難場所等の保全等、土砂災害による被害の軽減と地震発生時の地域の自立性の確保に資する施設整備を推進するなどの検討を図っていくこととした。 9)気象庁における取組み  地震による災害の防止・軽減を図るため、全国の地震活動を24時間体制で監視し、緊急地震速報、地震情報等の迅速かつ的確な発表に努めている。  緊急地震速報については、東日本大震災での経験を踏まえ、より適切に情報発表できるよう、地震観測点の電源・通信回線の強化や計算システムのソフト改修等を行っている。さらに、予想精度の向上や情報発表の迅速化を図るため、関係機関が海域や地中深くに設置した地震計のデータを計算システムに取り込む準備を進めている。 10)海上保安庁における取組み  地震調査研究に資するため、海溝型巨大地震の発生が将来予想される日本海溝や南海トラフ等の太平洋側海域において、海底地殻変動を観測している。また、沿岸域及び南関東の離島において、GPS観測による地殻変動を監視している。 11)国土地理院における取組み (ア)地殻変動観測・監視体制の強化  全国及び地震防災対策地域等において、電子基準点1,240点によるGPS連続観測、GPS測量、水準測量等による地殻変動の監視を強化している。 (イ)地震に伴う自然災害に関する研究等  GPS、干渉SAR、水準測量等測地観測成果から、地震の発生メカニズムを解明するとともに、観測と解析の精度を向上する研究を行っている。また、国土の基本的な地理情報データ及び過去の災害履歴や震度の情報を組み合わせて解析し、緊急災害時における迅速な災害情報の取得・提供に関する研究開発を行っている。さらに、関係行政機関・大学等と地震予知に関する各種データ・情報を交換し、検討を行う地震予知連絡会及び地殻変動研究を目的として、各省庁や公共機関等が観測した潮位記録の収集・整理・提供を行う海岸昇降検知センターを運営している。 (8)雪害対策 1)冬期道路交通の確保(雪寒事業)  「積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法」に基づき、安全で安心な生活を支え、地域間の交流・連携を強化するため、道路の除雪・防雪・凍雪害防止の事業(雪寒事業)を進めている。また、異常な降雪時において大型車の立ち往生等が発生した場合、引き続き流入する交通による著しい渋滞を防ぐため、各都道府県警察と連携の上、早い段階で通行止め措置を行い、除雪作業を集中的に実施することで、迅速に交通を確保することとしている。さらに、除雪状況等の情報の共有及び提供の一元化、除雪の効率化等を図るため、道路管理者等の関係機関による情報連絡本部の設置を進めている。 2)豪雪地帯における雪崩災害対策  全国には、約21,000箇所の雪崩危険箇所があり、集落における雪崩災害から人命を保護するため、雪崩防止施設の整備を推進している。 3)消流雪用水導入事業の実施  豪雪地帯において、治水機能の確保と合わせ、水量の豊富な河川から市街地を流れる中小河川等に消流雪用水を供給するための導水路等の整備を実施している。 (9)防災情報の高度化 1)防災情報の集約  「国土交通省防災情報提供センター」注6では、国民が防災情報を容易に入手・活用できるよう、保有する雨量等の情報を集約・提供しているほか、災害対応や防災に関する情報がワンストップで入手できるようにしている。 2)ハザードマップ等の整備  災害発生時に住民が適切な避難行動をとれるよう、避難場所、避難経路等を住民にあらかじめ周知すべく市町村によるハザードマップの作成・配布を促進するとともに、全国の各種ハザードマップを検索閲覧できるインターネットポータルサイト注7を開設している。 図表II-6-2-8 ハザードマップの整備状況 3)防災気象情報の改善  気象庁では、それまで複数の市町村をまとめた広い地域に対して発表していた警報・注意報を、平成22年5月から、より細かく市町村ごとに発表している。また、大雨警報については、「大雨警報(土砂災害)」と「大雨警報(浸水害)」として、対象災害に応じて発表している。これにより、市町村の防災担当者や地域の住民にとって、警報や注意報がどの市町村に発表されているのかが分かりやすくなり、警戒すべき時間帯もより絞られるなど、一層効率的に防災活動に活用できるようにした。  また、竜巻・雷・局地的な大雨等、狭い範囲に発生する激しい気象現象からの被害を最小限にするため、局地的な激しい現象を対象に、ナウキャストと呼ばれる短時間予測情報(1時間先までの分布図形式の予報)を発表しており、23年6月からは、携帯端末でも情報を確認できるようになった。 (10)災害発生時の危機管理体制の強化  自然災害への対処として、災害に結びつくおそれのある自然現象の予測(気象庁)、災害時の施設点検・応急復旧等の対応(施設管理関係部局)、海上における救助活動(海上保安庁)等を行うとともに、職員の非常参集、災害対策本部の設置等の初動対応体制を構築しているところであるが、東日本大震災における災害対応を踏まえ、危機管理体制の強化を図ることとしている。また、被災した自治体等に対して、国土交通省及び関係団体等が有する資機材、マンパワー、ノウハウ等を活用した応援・支援をより積極的に推進する。 1)緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)による災害対応  大規模自然災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、被災地方公共団体等が行う被災状況の迅速な把握、被害の発生及び拡大の防止、被災地の早期復旧、その他災害応急対策に対する技術的支援を円滑かつ迅速に実施するため、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を派遣する体制を整えている。平成23年度は、東日本大震災に際し、延べ18,115人日(24年1月11日現在)、23年7月の新潟・福島豪雨により被害を受けた新潟県と福島県に延べ262名、同年9月の台風第12号では、奈良、和歌山、三重の3県に延べ5,185名の隊員がそれぞれ派遣され、被災地の迅速な復旧及び再度災害防止に向けた技術支援を実施した。 2)業務継続力の向上  首都直下地震時の重要業務継続を確保するために作成した「国土交通省業務継続計画」に基づき、訓練の実施等を通じて、業務継続力の向上を図っている。 3)災害に備えた情報通信システム・機械等の配備  災害時の情報通信体制を確保するため、本省、地方支分部局、関係機関等の間で、マイクロ回線と光ファイバを用いた信頼性の高い情報通信ネットワーク整備に加え、災害現場からの情報収集体制を強化するために衛星通信回線を活用した機動性の高いシステムを整備している。また、迅速な災害対応のため、災害対策用ヘリコプター、衛星通信車、排水ポンプ車、照明車等の災害対策用機械を全国の地方整備局、事務所等に配備し、大規模災害が発生した際には全国の地方整備局、事務所等からも迅速な応援派遣を実施できる体制をとっている。 4)実践的な危機管理訓練の実施  災害対策要員の能力の向上を図るため、ロールプレイング方式等の実践的な危機管理訓練を積極的に実施しているほか、地域住民・企業、NPO等のより一層の参加促進、避難場所・避難経路の確認を行うなど、より実践型、参加型の水防訓練等を実施した。  さらに、東日本大震災では、大規模災害時における関係機関の連携の重要性があらためて認識されたため、地方支分部局等を中心に地域ブロックの防災関係機関が連携し、巨大地震等大規模災害に備えた情報共有・実働訓練についても取組みを進めている。 5)海上での初動対策の準備  海上保安庁では、災害発生時に迅速に対応できるよう巡視船艇・航空機を24時間体制で配備している。また、災害の規模に応じて対策本部等を設置し、巡視船艇・航空機による被害状況調査や救助活動等を実施するなど、迅速かつ的確に対応している。 (11)ICTを活用した既存ストックの管理  光ファイバ網の構築により、ICTを活用した公共施設管理、危機管理の高度化を図っている。具体的には、光ファイバを活用した道路斜面の継続監視による管理の高度化、インターネット等を活用した防災情報の提供等安全な道路利用のための対策を進めている。また、水門等の遠隔操作、河川の流況や火山地域等の遠隔監視のほか、下水処理場・ポンプ場等の施設間を光ファイバ等で結び、遠隔監視・操作を実施するなど、管理の高度化を図っている。  さらに、水門等の施設を迅速かつ一元的に操作し津波・高潮被害の未然防止を図る津波・高潮防災ステーションの整備については、社会資本整備総合交付金や地域自主戦略交付金によって支援している。 図表II-6-2-9 津波・高潮防災ステーションのイメージ図 (12)公共土木施設の災害復旧等  平成23年の国土交通省所管公共土木施設(河川、道路、海岸、下水道等)の被害は、東日本大震災、新潟・福島豪雨、台風第12号、台風第15号等の大規模な災害が多発したことにより、過去最高であった16年の約1兆1,165億円をはるかに超える、約2兆5,752億円(39,593箇所)が報告されている。  これらの自然災害による被害について、被災直後より現地にTEC-FORCE等を派遣し、迅速な復旧・復興及び二次災害防止に向けた技術的助言等を行った。  また、東日本大震災等の大規模災害に速やかに対応できるよう、災害査定の平面図を航空写真等で代替し復旧計画図を標準断面図で作成する、実地によらず机上で査定できる限度額を通常の300万円未満から3億円未満に拡大するなどの査定の簡素化を行い、事業採択までの事務手続を大幅に簡素化・短期間化するなど、被災地の迅速な復旧に努めている。  また、東日本大震災や新潟・福島豪雨、台風第12号、台風第15号等の自然災害により被害を受けた地区や公共交通に係る重大な事故が発生した箇所等(97件)に災害対策等緊急事業推進費を執行し、住民の安全・安心の確保に資するため、緊急に再度災害防止対策等を実施した。 (13)安全・安心のための情報・広報等ソフト対策の推進  安全・安心の確保のために、自然災害を中心として、ハード面に限らずソフト面での対策の取組みを進めるため、「国土交通省安全・安心のためのソフト対策推進大綱」に基づき、毎年進捗状況の点検を行ってきたが、平成23年度は、東日本大震災を受けて、ソフトとハードの調和的かつ一体的な検討が必要となる状況が顕在化したことから、社会資本整備重点計画・国土交通省防災業務計画の見直しの動向を見据えた上で検討することとした。 注1 大雨や地震で斜面が崩れ、崩落した土砂が河川をせき止める現象。「天然ダム」「土砂ダム」などとも呼ばれる。上流の水位が上昇し越流した場合、大規模な土石流や洪水氾濫が発生することがある。 注2 http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/index.html 注3 http://www.river.go.jp [インターネット版]、http://i.river.go.jp [携帯版] 注4 既存のレーダに比べ、より高頻度(1分ごと)、高分解能(250mメッシュ)での観測が可能。また、これまで5〜10分かかっていた配信に要する時間を1〜2分に短縮 注5 人工衛星で宇宙から地球表面の変動を監視する技術 注6 http://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/ 注7 http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/index.html