コラム 平成23年の災害におけるTEC-FORCE等の活動  東日本大震災では、全国の地方整備局等から隊員を被災地に派遣し、被災状況の調査や被災自治体の早期復旧に向けた支援を実施しました。特に、大規模な地震津波により太平洋沿岸部が広域にわたり浸水し、十分な被災状況の調査や被災者の捜索・救難活動が満足にできない状況となったため、関係機関と協議し、地形や湛水状況など周辺状況を考慮した上で、排水ポンプ車の設置場所や台数、工程など効率的な排水計画を立て、緊急排水を実施しました。また、通信回線が完全に喪失し外部との連絡が絶たれた市町村に平成23年3月14日から衛星通信車や小型可搬衛星通信設備(Ku-SAT)を設置し、応急対策を円滑に実施する第一歩となる通信機能を確保しました。さらに、大きな津波被害を受けた沿岸部への緊急輸送道路の確保のため、東北地方整備局は、南北の幹線である東北道、国道4号から太平洋沿岸主要都市へのアクセスルートを開く「くしの歯」作戦を実施し、同年3月12日には11本、15日までに15本の東西ルートを啓開しました。  紀伊半島大水害では、地上ルートの確保の困難な河道閉塞箇所等について、災害対策用ヘリコプターを用いて上空から広域的な被災状況調査を実施しました。また、河道閉塞箇所等においてKu-SAT等の設置により被災現場との情報通信回線を確保し関係自治体への映像提供を行うなど、決壊の危険性の高い河道閉塞箇所における警戒避難体制の構築支援を実施しました。孤立した集落に対しては現地踏査等による調査結果をもとに被災したアクセスルートの応急復旧方針を立案し、自治体への助言を行いました。  新潟・福島豪雨においても、信濃川、阿賀野川沿川の浸水被害を軽減させるための排水支援や映像監視のためのKu-SATの設置等を実施しました。  このほか、大規模災害が発生した際には、地方整備局等から災害情報連絡担当官(リエゾン)として職員を直ちに被災自治体へ派遣し、情報収集及び国土交通省との連絡調整を行っています。東日本大震災では13都道県55市町村へ、台風第12号では9道県22市町村へリエゾンを派遣し、TEC-FORCE等の調整や緊急支援物資の要望聴取を行うとともに、二次災害防止や応急・復旧対策に関する技術的助言等自治体支援のための対応を実施しました。  例年にない大規模な災害対応の経験を踏まえ、今後の大規模災害発生時に応急対策活動を迅速・的確に実施できるよう、TEC-FORCE活動計画の作成、関係機関等と連携した広域的な防災訓練の実施等、より一層の活動体制の強化に取り組んでいきます。 24時間体制での排水作業状況(宮城県石巻市富士川) 地元自治体への助言(岩手県大槌町の災害対策本部) 台風第12号 TEC−FORCE隊員による奈良県御杖村土砂災害(河道閉塞)調査