コラム 災害に強い通信網(東日本大震災・紀伊半島大水害における通信システムの運用)  国土交通省では、多重無線(マイクロ)回線と光ファイバ回線による通信基盤と機動性の高い移動通信や衛星通信、ヘリコプター映像伝送システム等を運用して災害時の迅速な情報収集、災害復旧活動を支援しています。  東日本大震災においては、通信網の一部施設に被害はありましたが、発災直後から非常用発電機によって電力を確保し、東北地方整備局や河川国道事務所、被災現場等との通信を確保して、情報の収集・連絡に活用し、道路啓開等の緊急対応を支援するとともに、本省緊急災害対策本部とのテレビ会議による情報交換・共有等を行いました。  地震や津波で大きな被害のあった沿岸地域では一般電話や携帯電話の使用が困難となり、被災した地方自治体等が外部との通信手段を失い孤立しため、TEC-FORCEの情報通信班として北海道開発局を含め全国の地方整備局から衛星通信車やKu-SAT等の通信設備、運営要員を派遣、展開して自治体の通信手段を確保し、災害対策の支援を行いました。17市町村や被災現場等に通信機材延べ2,500台・日、職員延べ1,000人・日を超える長期間に及ぶ派遣がなされました。  また、9月の台風第12号による紀伊半島大水害では、大規模な土砂災害や河道閉塞が発生して被災自治体が孤立したり、復旧や捜索活動において二次災害の危険が大きく河道閉塞箇所の監視が必要となったため、近畿ほか4地方整備局からTEC-FORCEとして衛星通信車等を派遣して通信の確保、監視カメラによる映像監視を行い、専用通信網やインターネットで映像のリアルタイム配信を行いました。  国土交通省の専用通信網は大規模災害時にも確実、迅速に運用されることが求められており、東日本大震災や紀伊半島大水害等の経験を踏まえて、より一層の信頼性の向上や円滑な運用体制の確保に努めていきます。 衛星通信車 Ku-SAT(小型可搬衛星通信設備) 配信映像(河道閉塞)