3 住宅・建築物、下水道、都市緑化等に関する対策 (1)住宅・建築物の省エネ性能の向上  民生部門のエネルギー消費量は、他の部門に比べると過去からの増加が顕著であり、住宅・建築物の省エネルギー性能の向上は喫緊の課題である。「省エネ法」により、一定規模以上の住宅・建築物に対しては、新築・増改築時等における省エネ措置の届出を義務付けており、届出を行った住宅・建築物に対しては、届出に係る事項に関する当該建築物の維持保全の状況についての定期報告を義務付けている。  また、経済産業省、環境省と連携し、有識者や実務者等からなる「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」を開催し、東日本大震災により新たに生じた論点も踏まえ、住まいのあり方や住まい方にわたる地球温暖化問題に対する広範な取組みの検討を行った。  このほか、住宅の省エネルギー性能を消費者に分かりやすく表示する住宅性能表示制度や、住宅・建築物の居住性(室内環境)の向上と地球環境への負荷の低減等を総合的な環境性能として一体的に評価する建築環境総合性能評価システム (CASBEE)の開発・普及を図っている。  また、住宅の省エネ化を推進するための支援策として、復興支援・住宅エコポイントや(独)住宅金融支援機構の証券化支援事業の枠組みを活用した金利引下げ等を実施するとともに、民間事業者等の先導的な技術開発の支援、設計・施工技術者向けの講習会の開催等により、省エネ住宅・建築物の設計、施工技術等の開発・普及を図っている。  さらに、既存ストックの省エネルギー対策を促進するため、既存住宅においては、一定の省エネ改修工事を行った場合に所得税や固定資産税を軽減する特例措置を、業務用ビル等においては、一定の省エネルギー対象設備を導入した場合に法人税の特例措置を講じている。 (2)官庁施設の環境負荷低減化の推進  平成23年3月に関係省庁の統一基準として決定された「官庁施設の環境保全性基準」に基づき、ライフサイクルを通じた環境負荷の低減や周辺環境の保全に配慮した整備を推進するとともに、既存施設については、設備機器等の老朽更新に併せた省エネルギー効果の高い機器等への改修を行うことにより、官庁施設のゼロエネルギー化を目指した取組みを強化することとしている。23年度には、環境負荷低減に配慮した大津地方合同庁舎等の新築整備を行った。 図表II-7-1-5 ゼロエネルギー庁舎のイメージ図 (3)下水道における地球温暖化対策  京都議定書目標達成計画に基づき、高効率機器の導入等の省エネ対策、下水汚泥の固形燃料化やバイオガスの有効利用等の新エネ対策、下水汚泥の高温焼却による一酸化二窒素の削減を推進している。  なお、目標達成計画では、下水道分野において216万トンのCO2削減を目標としている。 (4)都市緑化等によるCO2の吸収源対策の推進  都市緑化等は森林と並ぶ温室効果ガス吸収源として、京都議定書において「植生回復活動」として国際的にも位置付けられている。また、ヒートアイランド現象の緩和による熱環境改善を通じた都市の低炭素化や、その意義や効果に関する普及啓発についても京都議定書目標達成計画において位置付けられており、市町村が策定する総合的な緑に関するマスタープランである「緑の基本計画」等に基づき、都市公園の整備、道路、河川、港湾、下水処理施設、住宅、官公庁施設等及び民有地における緑化を積極的に推進している。 (5)市街地整備における地球温暖化対策 1)市街地整備  低炭素都市づくりの実現に向けて、エネルギーの面的利用をはじめとする、地区・街区レベルでの先導的な都市環境対策を推進するため、計画策定・コーディネート及び実証実験等を支援する。 2)環境対応車を活用したまちづくり  環境対応車(特に電動バス、電気自動車、超小型モビリティ)を活用し、環境に優しい都市交通の実現や低炭素なまちづくりを促進するため、平成23年度に国と地方公共団体が協働し、環境対応車を活用したまちづくりのための技術基準等を策定するなど、取組みを推進している。