コラム 国際海事機関(IMO)に初の日本人事務局長が就任  IMOは、国際通貨基金(IMF)や世界銀行グループ等と並ぶ15ある国連の専門機関のひとつで、船舶の航行安全や海洋環境保護等に関するルールの策定を行っています。  平成23年6月、IMO理事会で事務局長選挙が行われた結果、我が国が擁立した関水康司氏が当選を果たし、24年1月より事務局長に就任しました(任期は4年間で、最長2期8年まで)。関水氏は、平成元年(1989年)に運輸省(当時)からIMOに出向し、その後IMOに転籍して、海洋環境部長、海上安全部長といった要職を歴任するなど、技術的な専門知識と行政や国際問題に関する豊富な知見を兼ね備えた人物として評価が高く、事務局長としての活躍に注目が集まっています。  関水事務局長はIMO設立後8代目の事務局長ですが、今回、海運・造船の主要な担い手であるアジアから事務局長が選ばれたことで、“国際ルール作り”の分野でも我が国を含めたアジアの存在感が増すことが期待されます。  現在、国際海事社会は様々な課題に直面しており、IMOでも積極的に取組みを進めています。例えば環境問題については、23年、船舶からのCO2排出を規制する技術的手法を条約改正により導入しました。さらに、当手法に加え、排出削減にインセンティブを導入する経済的手法をまとめるべく検討を進めています。また、広域化するソマリア海賊問題に対応するため、国際協力の強化や国連等の国際機関と協力した取組みを進めています。  関水事務局長の強いリーダーシップの下で、こうした国際海事社会の抱える様々な問題が解決に向けて大きく前進することが期待されています。 立候補演説を行う関水氏 IMO歴代事務局長