第2節 若者の意識の変化

(3)生活に満足している者の増加

 このように、将来に備えて消費を抑制する一方で、現在の若者は満足度の低い暮らしを送っているわけではない。
 現在の若者が生まれ育った環境は、これまでの世代と比較して、物質的には遙かに充足した環境だと言える。1950年代後半、「三種の神器」と呼ばれる白黒テレビ、洗たく機、冷蔵庫の家電三品目が登場して以降、1960年代後半には、「新三種の神器」と呼ばれるカラーテレビ、乗用車、ルームエアコンの普及が始まるなど、1950年代後半からの高度経済成長期には、我が国の家庭にはこれまで存在しなかった消費財が次々ともたらされることとなった。冷蔵庫、洗たく機、カラーテレビは1980年代には普及率がほぼ100%となっており、現代の若者にとってはこれらの製品が存在することが当たり前となっているほか、近年は、スマートフォンやタブレット端末など新たな製品が登場しており、消費財の種類や品質、その普及度などから見た我が国の物質的な豊かさは向上し続けていると言える(図表31)。
 
図表31 耐久消費財の普及率の推移
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 このような状況を反映してか、生活に満足している若者の割合は増加している。「国民生活に関する世論調査」によると、現在の生活に「満足している」又は「まあ満足している」と回答した者の割合は、他の年齢層では減少傾向又は横ばいで推移しているのに対し、20代・30代の若者では上昇傾向にあり、2012年にはこの30年間で最高の水準となっている(図表32)。
 
図表32 生活満足度の推移(1977年=100)
図表32 生活満足度の推移(1977年=100)
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 また、将来の生活水準について、「今よりも生活水準を落としたくない」と考えるかどうか尋ねたところ、「とてもそう思う」と答えた者の割合が他の年齢層より高くなっている(図表33)。
 
図表33 将来の生活水準の意向
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