第3節 動き方の変化

コラム サイクルシェアを通じたまちづくり 〜札幌みんなのサイクル ポロクル〜

 札幌市都心部では、新しい公共交通として、自転車を共同利用する「ポロクル」の利用が進んでいます。ポロクルは、あらかじめ専用のサイト等で登録をした利用者が、「サイクルポート」と呼ばれる無人の貸出拠点でICカードや携帯電話により利用者認証を行うことにより、自転車を自由に借りたり返したりすることができるサービスです。
 
サイクルポートの設置状況
サイクルポートの設置状況

 
ポートの様子
ポートの様子

 
貸出の様子
貸出の様子

 現在、ポロクルは、札幌都心部で東西約5km、南北約3kmのエリアに45カ所のサイクルポート、約270台の自転車を展開しており、利用者の登録件数は6,500件を超えました(2012年度営業終了時点)。2012年に実施された利用者に対するアンケート調査によると、ポロクルにより行動範囲が拡大したと答えた若者の割合は75%となるなど、ポロクルの利用により札幌都心部における若者の行動が活発化していることが分かります。
 ポロクル導入の背景には、歩道上の放置自転車や自転車利用者のマナーの悪さにより、札幌都心部の魅力が低下しているという問題がありました。このような問題を解決する試みとして、2008年、産学研究グループによるサイクルシェアリングサービスの開発が始まり、2011年には(株)ドーコンモビリティデザインによる本格的な実用化が始まりました。
 全国で自転車の共同利用を推進する動きが見られる中で、ポロクルの特徴となっているのは、若者が運営主体として積極的に参画しているという点と、札幌大通まちづくり株式会社等のまちづくりに携わる様々な主体と連携を図っているという点です。
 ポロクルの運営は、20歳前後の若者たちを中心としたNPO法人ezorockが担っており、自転車やポートの点検、ポート間の自転車の台数調整など日常的な管理運営業務を行うほか、自転車利用時のルール遵守やマナー向上を目指し、市民向けのPR活動などを行っています。また、札幌大通まちづくり株式会社は、商店街等が主体となって策定した「都心部自転車対策アクションプラン」に基づく取組みを進めていますが、ポロクルはこの中で、個人所有の自転車からの代替手段として、また、マナー啓発活動の拠点として位置づけられています。
 このように、ポロクルは、単に移動手段としての役割を果たすだけでなく、若者やまちづくりに携わる人々の意欲を取り込むことにより、にぎわいの創造、良好な都市景観の形成や歩行空間の安全性・快適性の確保、環境に優しい交通体系の実現等、様々な観点からまちづくりに貢献しています。
 
自転車ルール遵守に向けた街頭啓発の様子
自転車ルール遵守に向けた街頭啓発の様子


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