第2節 技術研究開発の推進

1 技術政策における技術研究開発の位置づけと総合的な推進

 国土交通省では、平成24年度から28年度を計画期間とした、第3期国土交通省技術基本計画を定め、技術政策の基本方針を示し、技術研究開発の推進と技術の効果的な活用、技術政策を支える人材育成等の重要な取組みを定めている。計画においては、「安全・安心の確保」、「持続可能で活力ある国土・地域の形成と経済活性化」、「技術研究開発の推進を支える共通基盤の創造」の3分野を取り組むべき技術研究開発として示しており、これに基づき、国土交通本省各局、施設等機関、特別の機関、地方整備局、外局等において、技術研究開発の推進に取り組んでいる。なお、計画の策定にあたっては、社会資本整備審議会・交通政策審議会技術部会並びに国土交通省及び研究機関の関係者から成る国土交通技術会議において組織横断的に議論を行った。
 技術研究開発の実施においては、産学官の連携体制の一層の充実を図りつつ、分野横断的・総合的に推進しており、その成果を公共事業及び建設・交通産業等へ積極的に反映している。

(1)施設等機関、特別の機関、外局、独立行政法人における取組み

 施設等機関、特別の機関、外局や研究を主たる業務とする国土交通省所管の独立行政法人における取組みは図表のとおりである。独立行政法人においては、公共性、透明性及び自主性を備え、適正かつ効率的に業務を運営するという趣旨を十分踏まえつつ、民間を含む関係機関との一層の連携強化を図りながら、それぞれの社会・行政ニーズに対応した研究を重点的・効率的に行っている。

 
図表II-10-2-1 施設等機関、特別の機関、外局における平成24年度の主な取組み
図表II-10-2-1 施設等機関、特別の機関、外局における平成24年度の主な取組み

 
図表II-10-2-2 研究を主たる業務内容とする国土交通省所管の独立行政法人における平成24年度の主な取組み
図表II-10-2-2 研究を主たる業務内容とする国土交通省所管の独立行政法人における平成24年度の主な取組み

(2)地方整備局における取組み

 技術事務所及び港湾空港技術調査事務所においては、管内の関係事務所等と連携し、土木工事用材料及び水質等の試験・調査、施設の効果的・効率的な整備のための水理実験・設計、環境モニタリングシステムの開発等、地域の課題に対応した技術開発や新技術の活用・普及等を実施している。

(3)建設・運輸分野における技術研究開発の推進

 建設技術に関する重要な研究課題のうち、特に緊急性が高く、対象分野の広い課題を取り上げ、行政部局が計画推進の主体となり、産学官の連携により、総合的・組織的に研究を実施する「総合技術開発プロジェクト」において、平成24年度は、「社会資本の予防保全的管理のための点検・監視技術の開発」等、計5課題について、研究開発に取り組んでいる。
 また、運輸分野においても、安全の確保、利便性の向上、環境の保全等に資する技術研究開発を産学官の連携により、効率的・効果的に推進しており、24年度は、「交通分野における高度な制御・管理システムの総合的な技術開発の推進」に取り組んでいる。

(4)民間企業の技術研究開発の支援

 民間企業の研究開発投資を促進するため、試験研究費に関する税制上の特例措置による支援を行っている。

(5)公募型研究開発補助制度の推進

 建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化及び国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案を公募する「建設技術研究開発助成制度」では、政策課題解決型技術開発公募(2〜3年後に実用化)、震災対応型技術開発公募(1〜2年後に実用化)の2種類の公募を行い、平成24年度は新規14課題、継続12課題を採択した。
 また、交通運輸分野については、交通機関の安全性・環境保全性や交通サービスの高度化等に寄与する新しい技術を確立するため、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構において、「運輸分野における基礎的研究推進制度」を実施し、24年度は継続8課題を採択した。なお、国土交通省の政策目標に資する技術開発をより重点的に実施するため、本制度は24年度をもって廃止し、25年度以降、国土交通省において交通運輸分野の新たな技術開発推進制度を実施していく。


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