第4節 健全な水循環系の構築
◯1 水の恵みを享受できる社会を目指して
これまで、戦後高度成長期の急激な水需要に対して水需給バランスの確保を優先して水資源開発施設の整備を進めてきた。一方、大規模災害や老朽化に伴う事故による広域かつ長期の断水の発生など水インフラの脆弱性、地球温暖化による気候変動リスク、健全な水循環系の確保などの社会からの要請、国際貢献のプレゼンスの強化などの、顕在化してきた様々な課題への対応が迫られている。
これらを背景として、平成25年10月22日に国土交通大臣から、「今後の水資源政策のあり方」について諮問し、国土審議会水資源開発分科会調査企画部会において調査審議を行い、26年4月11日に、「今後の水資源政策のあり方について(中間とりまとめ)」がまとめられた。
「中間とりまとめ」では、基本的理念である「水の恵みを享受できる社会」を目指して、いかなる事態が生じても、柔軟かつ臨機に、包括的に対応できる「幅を持った社会システム」の構築と、これまで実施してきた施策の継続・強化と新規施策の「重層的展開」、基本的・長期的な方向性を示す変曲点、今こそ「次世代水政策元年」として取り組むことが示されており、最終とりまとめに向けて、具体的な取組みについて検討していくこととしている。