コラム 「GEBCO指導委員会」委員長に海上保安庁海洋情報部長が選出
全世界の海洋に関する海底地形図の作成プロジェクトを推進する「GEBCO(ジェブコ)注1指導委員会注2」の委員長に、平成25年10月、谷伸(たにしん)海洋情報部長が選出されました。この選出は、我が国におけるGEBCOプロジェクトへの深い関与と豊富な科学的知識が評価されたものです。過去にはエリザベス女王の科学顧問であったロートン卿も本委員長を務めており、谷部長は6代目となります。
四つのプレートがぶつかり合い、1,000万人都市のすぐ近くに水深9,000メートル以上の海溝があるなど世界的に見ても極めて複雑な海底地形を有する我が国は、海底の驚異を明らかにするため、また、地震や火山噴火のメカニズムの解明などのために古くから海底地形の調査と海底地形図の作成に力を入れてきました。24年に認められた、日本の面積の8割に相当する31万平方キロメートルに及ぶ我が国の大陸棚延伸においても精緻な海底地形の情報が重要な役割を果たしました。我が国は海底地形調査及び海底地形図作成に関する世界の最先進国とされています。
海底地形の情報は、地震・火山噴火や津波のような海域を起源とする自然災害の科学的解明や対応のために不可欠であるほか、地球規模の気候変動を検討する際にも重要な情報とであると指摘されています。また、海洋資源(海底のエネルギー・鉱物資源、洋上風力・潮力などの再生可能エネルギー等)の開発や水産に海底地形の情報は重要です。このようなことから国際的にも精密な海底地形図への関心が高まっています。
一方で、精密な海底地形データが共有されている海域は、世界全海域の10%程度にとどまっています。未だに測量されていない海域での地形調査の推進や、測られたのに共有されていないデータの掘り起こしは重要な課題であり、今後、データの充実、海底地形情報へのニーズに応じた地形図や地形情報の作製、このような作業を行う次世代の育成など困難な課題に、各国・各機関・専門家の協力を得て取り組んでいくこととしています。