はじめに
インフラ整備の起源をたどれば、太古の時代より様々な足跡が考古学的見地から見つかっているが、インフラストラクチャーの語源に依拠すれば、その起源は古代ローマ時代に遡ることができる。古代ローマ人は、現代人から「インフラの父」とも呼ばれる民族であって、インフラストラクチャーという言葉は、古代ローマ人が使用したラテン語の「下部」を意味する「インフラ」と、「構造」を意味する「ストゥルクトゥーラ」から合成されたものであると言われている。
古代ローマ人が築いたインフラには、神殿、円形闘技場、公共浴場等様々なものがあるが、ローマの政治家「アッピウス・クラウディウス」(紀元前340〜273年)によって立案・着工されたアッピア街道・アッピア水道は、偉大なインフラとして後世に名を残すこととなるローマ街道とローマ水道の手本となった注。
アッピア街道の着工から数百年後の紀元6世紀に、イタリアを訪れた東ローマ帝国の重臣が、ローマ街道が長きにわたり機能し続けることに驚嘆したというエピソードがあるが、ローマ帝国において、各街道の修理修復が適切に行われていたことがその背景にある。