コラム 「ダム再生」〜既設ダムの再開発による有効活用〜  ダムは様々な形でその役割を果たしています。既存施設の有効活用を図る観点から、既設ダムの一層の活用が求められており、国土交通省では、「ダム再生」を推進しています。ダム再生とは、既設ダムを改築などして、ダムの容量の拡大、放流能力の拡大、運用の変更、堆砂対策や水質対策など既設ダムの有効活用を図るものです。  ダム再生を行っている事例として、鶴田ダム再開発事業が最盛期を迎えています。本事業は、平成18年7月に鹿児島県北部の川内川流域で発生した豪雨災害を受け、既設の鶴田ダムの治水機能の強化を図るため、洪水調節容量の拡大や放流能力の増強等を実施するものです。洪水調節機能を向上させるため、ダム堤体に直径6mの穴をあけて新しい放流管を設置することになりましたが、施工にあたっては、既設ダムの治水・利水の機能を維持したまま工事を実施する必要があります。そのため、最大65mの水深下での水中作業を伴うなど、新たにダムを建設するのとはまた違った難しさがあります。これだけの大水深かつ長期の水中施工を伴うダム堤体の削孔工事は我が国初めてであり、現在、29年度の完成に向けて鋭意事業を推進しているところです。  「ダム再生」は我が国のダムのみならず海外のダムへの適用も期待されており、積極的にその紹介を行っています。例えば、25年8月に、米国シアトルで開催された国際大ダム会議において、パネル展示等を行いました。また、27年度にノルウェーで開催予定の国際大ダム会議大会での議題として、日本が提案した既設ダムの有効活用に関するテーマが決定されました。今後とも我が国の先進的な技術を活かし、積極的な国際展開を図っていきます。  また、国土交通省では民間ツアー会社と連携し観光ツアーの一部にダム見学を組合わせる「ダムツーリズム」を推進しています。こうしたダムツアーでは管理中のダムだけでなく、前述の鶴田ダムのような「ダム再生」の工事中のダムも対象にしており、日々進むコンクリート打設の様子などまさに今しか見られない現場を見ていただけるよう、積極的に広報を図っていきます。