コラム 台風第18号による洪水に対し、治水事業が効果を発揮  台風第18号の接近・通過に伴い、平成25年9月15日から16日にかけて四国から北海道の広い範囲で記録的な大雨となり、各地で浸水被害、河川の氾濫、土砂災害等が発生し、全国で死者6名、行方不明者1名、また四国から北海道の広い範囲で浸水家屋10,000棟以上など、大きな被害が発生しました。  一方、全国174の国土交通省所管ダムが洪水調節を行うなど、各地で治水事業の効果も発揮されました。 ダムの洪水調節により京都市内の甚大な浸水被害の発生を防止  京都府の淀川水系桂川では、大規模な出水が発生し、日吉ダムでは管理開始以降最大の流入量を記録しましたが、ダムの洪水調節により、下流へ流す水量を最大で約9割低減しました。  この洪水調節により、京都市嵐山地区(渡月橋付近)では、渡月橋の損傷の拡大を防止するとともに、浸水戸数をほぼ半減できたと推定されます。  また、下流の京都市の鴨川合流点付近においては、水位が堤防天端まで上昇し右岸側で越水が生じましたが、日吉ダムの洪水調節と水防団や自衛隊等による懸命な水防活動により、堤防の決壊を免れていた状況です。仮に日吉ダムが無く、この付近の右岸側で堤防が決壊した場合、約13,000戸の浸水、約1.2兆円の被害が発生したものと推定されます。 堤防整備により浸水被害を防止  青森県の岩木川右岸の板柳地区は、かつては堤防の無い区間でしたが、11年から堤防整備及び河道掘削に着手し、25年3月に総延長8.1kmの堤防が完成しています。  台風第18号による洪水では、計画高水位を上回ったものの、懸命な水防活動等により堤防は決壊しませんでした。堤防が整備されていたことにより、約3,100ha(約5,900戸)の浸水被害を防いだものと推定されます。