◯1 公共交通機関等における安全管理体制の構築・改善  各交通モードにおいてヒューマンエラーに起因すると見られる事故・トラブルが多発したことを契機に平成18年10月に導入された「運輸安全マネジメント制度」は、運輸事業者に「安全管理規程」の作成・届出、「安全統括管理者」の選任・届出等を義務付けるとともに、経営トップの主体的な関与の下で現場を含む組織が一丸となって安全管理体制の構築・強化に取り組んでもらい、国がその取組み状況を確認し、プラス評価や助言をすることで、安全管理体制をPDCAサイクルによって継続的に向上させるものである。 図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要  24年10月から25年9月末までに、運輸安全マネジメント評価を延べ510社(鉄道103社、自動車90社、海運299社、航空18社)に対して実施した。この結果をみると、依然、大手事業者とその他の事業者では制度に係る取組み状況の差が大きい。このため、全モード共通の方針として、1)効果が高いと見込まれる分野に重点を置いたメリハリのある評価の実施、2)大手・中堅事業者については、評価の高度化及び事業者による取組みの内容の実効性・有効性に重点を置いた評価の実施、3)中小事業者については官民連携の手法も活用した制度の一層の普及・啓発について重点的に取組みの充実・強化を図っている。 図表II-7-4-2 大手事業者とその他の事業者の取組み状況の相違(平成24年度)  具体的には、関越道高速ツアーバス事故を受け25年4月に策定された「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」の一環として、25年10月にバス事業者について運輸安全マネジメント実施義務付け対象を一定規模以上(保有車輌200両以上)の事業者に加えて、全貸切バス事業者等(約4,500者)に拡大したことを踏まえ、新たな評価対象事業者に対する効果的な評価を行うこととしている。また、25年7月には民間機関等が実施するセミナーを国土交通省が認定する仕組みを構築し、民間機関等の活力とノウハウを活用した事業者に対する制度のさらなる浸透・定着を図っている。