第9章 戦略的国際展開と国際貢献の強化 第1節 インフラシステム輸出の促進 ◯1 政府全体の方向性  新興国を中心とした世界のインフラ需要は膨大であり、急速な都市化と経済成長により、今後の更なる市場の拡大が見込まれている。このため、我が国の成長戦略・国際展開戦略の一環として、インフラシステムに関する我が国の強みのある技術・ノウハウを最大限に活用して、世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込んでいく必要がある。  一方で、プロジェクト受注のための国際的な競争は熾烈であり、我が国企業の受注に向けては、様々な側面で官民が緊密に連携し、我が国企業受注に向けた環境整備を図っていくことが必要である。  このことから、政府においては平成25年3月に「経協インフラ戦略会議」を設置し、国土交通大臣を含む関係閣僚を中心に、政府として取り組むべき政策を議論の上、25年5月17日、「インフラシステム輸出戦略」を取りまとめた。同戦略は、同年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」において、その迅速かつ着実な実施が盛り込まれたところである。  インフラシステム輸出戦略においては、2020年における我が国企業のインフラ関係受注の目標額を約30兆円(現状約10兆円)とすることを目指している。そのための施策の柱として、同戦略においては、1)企業のグローバル競争力強化に向けた官民連携の推進、2)インフラ海外展開の担い手となる企業・地方公共団体や人材の発掘・育成支援、3)先進的な技術・知見等を活かした国際標準の獲得、4)新たなフロンティア分野への進出支援、5)安定的かつ安価な資源の確保の推進、を掲げている。