第2節 観光立国の実現に向けた取組み

■5 外国人旅行者の受入環境整備

 2020年に向けて、訪日外国人旅行者数2,000万人の高みを目指していくためには、訪日外国人旅行者の快適・円滑な移動・滞在のための環境整備を図ることによって、訪日外国人旅行者が日本に来てよかったと満足して帰国し、リピーターとして再度訪日することが極めて重要である。
 このため、平成26年度は、以下の取組みを実施した。
 外国人旅行者ができるだけ「言葉の壁」を感じることなく訪日旅行を楽しむことができるよう、多言語対応については26年3月に策定・公表した美術館・博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関など幅広い分野で共通するガイドラインに従って、関係省庁と連携し、表記の統一性・連続性の確保を図るための取組みを推進した。また、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の一部を改正し、道路案内標識が外国人旅行者にも分かりやすいものとなるよう、主要な観光地等において、「ローマ字」から「英語」への改善に取り組んでいる。通訳案内士制度については、創設60年以上が経過しているが、訪日外国人旅行者数が1,300万人を超え、2,000万人を目指す中、案内士の質と量について課題が指摘されている。このため、26年12月、幅広い関係者による「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を開催し、改善方策の検討に着手している。
 外国人旅行者が一人歩きできる環境整備を図るため、総務省と連携して「無料公衆無線LAN整備促進協議会」を26年8月に設置した。本協議会を通じて、無料公衆無線LAN環境の更なる整備促進、周知・広報、認証手続の簡素化について取組みを推進した。
 「クルーズ100万人時代」の実現に向けて、港湾局に設置したワンストップ窓口においてクルーズ船社等からの問い合わせに一元的に対応するとともに、「全国クルーズ活性化会議」と連携して、クルーズ船社、港湾管理者等が参加する商談会・シンポジウムの開催や、港湾施設の諸元や寄港地周辺の観光情報を一元的に発信するウェブサイトの充実を図った。また、既存施設を有効活用しつつ、旅客船ターミナルの機能強化を図った。
 更なる成長が期待される東南アジアをはじめとするイスラム圏からの訪日を促進するため、ムスリム旅行者が飲食店でスムーズな選択ができるよう、飲食店等の受入施設向けの手引き(ガイダンス)を策定するとともに、セミナーを開催し、メニュー・食材、食器・調理環境等の情報発信を促進した。また、地域等における飲食店や礼拝場所などムスリム旅行者が必要とする情報発信を強化した。
 併せて、CIQ体制の拡充を含む空港や港における出入国手続の迅速化・円滑化、二次交通の充実、海外発行クレジットカードに対応したATMの設置の促進など決済環境の改善、宅配サービス等を活用した訪日外国人旅行者による「手ぶら観光」の促進等に取り組んだ。


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