第5節 北海道総合開発の推進

第5節 北海道総合開発の推進

■1 北海道総合開発計画の推進

(1)北海道総合開発計画の改定に向けた取組み
 我が国は、北海道の優れた資源・特性を活かしてその時々の国の課題の解決に寄与していくとともに、地域の活力ある発展を図ることを目的として、北海道の積極的な開発を行ってきた。
 現在は第7期計画となる「地球環境時代を先導する新たな北海道総合開発計画」(平成20年7月閣議決定)に基づき諸施策を推進しているが、国土形成計画の改定着手、国土強靱化基本計画の閣議決定等の状況変化を受け、「北海道開発の将来展望に関する有識者懇談会」のとりまとめ(26年12月公表)を活用しながら、新計画の策定に着手することとした。27年1月に国土審議会北海道開発分科会の下に置かれた計画部会において集中的な調査審議が進められている。

(2)現行の計画の実現に向けた取組み
1)総合的な食料供給力の強化
 全国の農地面積の25%を占める北海道の食料供給力の強化に向けて、農地の大区画化等の基盤整備により生産力を高めるとともに、品質管理の高度化や観光との連携等、高付加価値化を支援している。また、物流機能の強化のため、必要なインフラ整備を推進するとともに、道産品を直接かつ安定的に輸出するための「北海道国際輸送プラットホーム」の構築等、食関連産業等の育成に向けた取組みを展開している。

2)国際競争力の高い魅力ある観光地づくり
 美しい景観や食等魅力的な観光資源を活かすため、基盤整備を通じた移動時間短縮・周遊性向上やニューツーリズムの振興、シーニックバイウェイ北海道の取組み等による受入環境の整備を推進している。また、サイクルツーリズムの推進等のため、平成26年9月にファムトリップ(招待視察旅行)を実施した。さらに、国際会議等(MICE)の北海道開催を推進するため、地域の取組みに対する支援等を行っている。
 
台湾の自転車関係者を十勝地方に招いて実施したファムトリップの様子
台湾の自転車関係者を十勝地方に招いて実施したファムトリップの様子

3)自然と共生する持続可能な地域社会の形成
 北海道の恵まれた自然と共生する社会を形成するため、湿原環境の保全・再生、水生生物の生息環境に配慮した防波堤の整備、河川・湖沼の浄化等を推進している。また、水素社会の実現に向けて平成26年11月にシンポジウムを開催するなど、再生可能エネルギーの利活用促進に向けた取組みを各地で展開している。

4)内外の交流を支えるネットワークとモビリティの向上
 北海道総合開発計画の3つの戦略的目標の実現に向け、高規格幹線道路や空港・港湾等の基幹的な交通基盤の整備や物流ネットワーク機能の強化等を多様な主体と連携し効果的に推進している。また、冬期交通の安全性・信頼性の向上のための取組みを推進している。

5)安全・安心な国土づくり
 近年、東日本大震災をはじめとして、大きな自然災害等が続いているが、平成26年度には北海道においても豪雪や暴風雪、土砂災害、風水害が特に頻繁に発生するなど、安全・安心な地域社会の形成に向けて課題が多く残されているため、社会基盤の耐震化、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の派遣その他の総合的な治水・土砂災害対策、信頼性の高い道路ネットワークの構築等の基盤整備や、危機管理体制の強化、地方公共団体や住民等とも連携を図った地域防災等を推進している。また、施設の老朽化や維持管理にかかる課題も顕在化していることから、メンテナンスサイクルの構築等の取組みも推進している。


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