第4節 交通分野における安全対策の強化

■1 公共交通機関等における安全管理体制の構築・改善

 各交通モードにおいてヒューマンエラーに起因すると見られる事故・トラブルが多発したことを契機に平成18年10月に「運輸安全マネジメント制度」が導入された。これは、「安全管理規程」の作成や、「安全統括管理者」の選任等の制度と相まって、運輸事業者において、経営トップの主体的な関与の下で現場を含む組織が一丸となって安全管理体制を構築・強化し、国がその状況を確認して、評価や助言をすることで、安全管理体制をPDCAサイクルによって継続的に向上させるものである。

 
図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要
図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要

 26年度においては、運輸安全マネジメント評価を延べ465社(鉄道75社、自動車107社、海運262社、航空21社)に対して実施した。
 
図表II-7-4-2 大手事業者とその他の事業者の取組状況の相違(平成25年度)
図表II-7-4-2 大手事業者とその他の事業者の取組状況の相違(平成25年度)

 また、運輸審議会運輸安全確保部会での審議を経て、23年12月に取りまとめた「運輸の安全確保に関する政策ビジョン」においては、今後の安全確保政策の方向性として、1)中小事業者に対する啓発普及活動の強化、2)大手・中堅事業者を中心とした安全管理の実効性の確保、3)マネジメント評価を行う人材の確保及び養成の強化、の三点が示され、取組みを推進している。
 具体的には、運輸安全マネジメント制度の実施の義務付けについて、全貸切バス事業者等に拡大(約4,200者)したことを踏まえた効果的な評価の実施や、25年7月に創設した認定セミナー制度(民間機関等が実施するセミナーを国土交通省が認定する制度)の活用等による、中小事業者に対する普及・啓発等を進めている。認定セミナーに関しては、26年12月末時点で約14,000人が参加した。
 運輸安全マネジメント制度については、今後さらに制度の実効性向上を図るとともに、そのコンセプトを全ての事業者へ普及することを目指すなど、充実強化を図ることとしている。


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