■2 公共工事の品質確保と担い手の育成・確保 (1)担い手三法の改正  平成26年の第186回国会において、現在及び将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成・確保を目的として、「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)」及び「建設業法」が改正された(いわゆる「担い手三法の改正」)。  また、同年9月には、「品確法」に基づく「基本方針」及び「入契法」に基づく「適正化指針」の改正について閣議決定された。「基本方針」は、予定価格の適正な設定や適切な工期の設定及び余裕期間の設定等による施工時期の平準化、多様な入札契約方式の導入・活用等の発注者が取り組むべき事項のほか、実勢を反映した公共工事設計労務単価の適切な設定や調査及び設計の品質確保に向けた資格制度の確立、国による運用指針の策定及び地方公共団体への支援等、公共工事の品質確保とその担い手の確保のために講ずべき施策を広く規定している。また、「適正化指針」は、低入札価格調査制度等の適切な活用の徹底、いわゆる歩切りが「品確法」に違反すること、社会保険等未加入業者の排除等発注者が入札契約適正化のために講ずべき措置について規定している。 (2)発注者責務を果たすための取組み  「品確法」の理念を実現していくためには、都道府県や市町村を含むすべての公共工事の発注者が、適切に発注関係事務を運用し、発注者としての責務を果たしていくことが不可欠である。このため、国において、平成27年1月に、「品確法」第22条に基づく「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」を策定している。「運用指針」は、すべての公共発注者に共通の指針として、発注関係事務における「調査及び設計」、「工事発注準備」、「入札契約」、「工事施工」、「完成後」の各段階で取り組むべき事項や多様な入札契約方式の選択・活用について体系的にまとめている。各発注者は、本指針に基づく具体的な取組みを進めていくこととなる。  今後、国土交通省では、「運用指針」の実効性を確保するため、地域発注者協議会や地方公共工事契約業務連絡協議会等を通じて、地方公共団体等に対する必要な支援や協力を行うとともに、発注者間の一層の連携に努め、発注者共通の課題への対応や各種施策を推進していく。また、本指針に基づき発注関係事務が適切に実施されているかについては、定期的に調査を行い、その結果を取りまとめ、公表する予定としている。 (3)多様な入札契約方式の活用  「品確法」では、多様な入札契約方式の選択・活用(第14条)、段階的選抜方式(第16条)や技術提案・交渉方式(第18条)、地域における社会資本の維持管理に資する方式(複数年契約、包括発注、共同受注による方式)(第20条)等が新たに規定された。国土交通省では、発注者の視点から社会資本整備の企画・立案から設計・施工・管理まで一連の執行プロセスのあり方及び諸課題への対応方針について、「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」において、平成25年11月より検討を進めており、「品確法」の理念も踏まえ、「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」として、各発注者における事業の特性等に応じた入札契約方式の適用のあり方を取りまとめている。 (4)施工段階における品質確保の取組み  国土交通省では、工事目的物の品質確保を目的として、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」及び「施工者と契約した第三者による品質証明」を試行している。