第3節 民間都市開発等の推進 ■1 民間都市開発の推進 (1)特定都市再生緊急整備地域制度等による民間都市開発の推進  昨今の成長が著しいアジア諸国の都市と比較し、我が国都市の国際競争力が相対的に低下している中、国全体の成長をけん引する大都市について、官民が連携して市街地の整備を強力に推進し、海外から企業・人等を呼び込むことができるような魅力ある都市拠点を形成することが、重要な課題になっている。このため、平成24年1月に都市の国際競争力の強化を図る地域として全国11地域を「特定都市再生緊急整備地域」に指定した。このうち9地域(27年3月末現在)においては、官民連携による協議会により整備計画が作成された。  特定都市再生緊急整備地域においては、従来の「都市再生緊急整備地域」における支援措置に加え、下水の未利用エネルギーを民間利用するための規制緩和、道路の上空利用のための規制緩和、税制支援等により民間都市開発の支援が行われる。また、整備計画に基づき、地域の拠点や基盤となる都市拠点インフラの整備を重点的かつ集中的に支援する補助制度として、「国際競争拠点都市整備事業」を設けている。 図表II-4-3-1 特定都市再生緊急整備地域と都市再生緊急整備地域の指定状況(平成27年3月末現在)  26年度には、国際的なビジネス・生活環境の形成を支援するため、外国語対応医療施設等の国際的な求心力を高める機能を整備する民間事業について、民間都市機構による金融支援(メザニン支援業務注)を強化するとともに、国際的ビジネス環境等改善に資する都市機能の向上及びシティセールスに係るソフト・ハード両面の対策を総合的に支援する「国際的ビジネス環境等改善・シティセールス支援事業」を創設した。  「都市再生緊急整備地域」としては、27年3月末現在で東京・大阪をはじめ政令指定都市や県庁所在地等において計62地域が指定されており、現在、各地域において様々な民間都市開発事業が着々と進行している。また、民間都市機構がミドルリスク資金の調達を支援するメザニン支援業務を実施している。 (2)都市再生事業に対する支援措置の適用状況 1)都市再生特別地区の都市計画決定  既存の用途地域等に基づく規制を適用除外とした上で、自由度の高い新たな都市計画を定める「都市再生特別地区」は、平成27年3月末現在で73地区の都市計画決定がなされ、うち50地区が民間事業者等の提案によるものとなっている。 2)民間都市再生事業計画の認定  国土交通大臣認定(平成27年3月末現在74件)を受けた民間都市再生事業計画については、民間都市機構による金融支援や税制上の特例措置が講じられている。 (3)大街区化の推進  我が国の主要都市中心部の多くは、戦災復興土地区画整理事業等により街区が形成されており、現在の土地利用や交通基盤、防災機能に対するニーズ等に対して、街区の規模や区画道路の構造が十分には対応していない。大都市の国際競争力の強化や地方都市の活性化、今日の土地利用ニーズを踏まえた土地の有効高度利用等を図るため、「大街区化ガイドライン」及び「まちづくり推進のための大街区化活用にかかる執務参考資料」に基づき、複数の街区に細分化された土地を集約し、敷地の一体的利用と公共施設の再編を推進している。 注 メザニン支援業務とは、公共施設の整備を伴い、かつ環境に配慮した建築物及びその敷地を整備する事業のうち、国土交通大臣の認定を受けたものに対して、民間都市機構がミドルリスク資金(元利金の支払が後順位となる特約が付された貸付け等の資金)の調達を支援する業務をいう。