また、東シナ海等の我が国排他的経済水域においては、外国海洋調査船による我が国の同意を得ない調査活動等も確認されており、海上保安庁では、関係機関と連携しつつ、巡視船等による中止要求や継続的な監視等、その時々の状況に応じて適切に対応をしている。さらに、外国漁船の違法操業のほか、核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮の動向など、尖閣諸島周辺海域のみならず、我が国周辺海域を巡る状況は、一層厳しさを増している。
今後、海上保安庁では、上記方針に沿って、以下5つの柱による海上保安体制の強化を推進する。
- 尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備
- 広大な我が国周辺海域を監視できる海洋監視体制の強化
- テロ対処や離島・遠方海域における領海警備等の重要事案への対応体制の強化
- 我が国の海洋権益を堅守するための海洋調査体制の強化
- 以上の体制を支える人材育成など基盤整備
(3)海上保安政策課程の展開
アジア諸国の海上保安機関の相互理解の醸成と交流の促進を通じて、海洋の安全確保に向けた各国の連携協力、そして「力ではなく、法とルールが支配する海洋秩序」の強化の重要性について認識の共有を図るため、海上保安庁及びアジア各国の海上保安機関の若手幹部職員を対象として、海上保安政策に関する修士レベルの教育を行う海上保安政策課程を平成27年10月に開講し、28年9月、第一期生(日本、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)に修士(政策研究)の学位記が授与された。また、現在は引き続き、第二期生(日本、インドネシア、マレーシア、フィリピン)が研修を実施中である。