第2節 総合的・一体的な物流施策の推進

コラム LNGバンカリング拠点の形成に向けて

 近年、国際的な船舶からの排出ガス規制の強化が進展し、排出ガスのクリーンなLNG(液化天然ガス)を燃料とする船舶の増加が見込まれている中、LNGバンカリング(燃料供給)拠点の有無が港湾の国際競争力を左右する状況となっています。
 我が国はLNGの世界最大の輸入国であり、整備に多大な費用を要するLNG基地も、既に港湾に多数立地しています。また、平成27年9月より、民間事業者によりLNG燃料タグボートの運航と同船へのLNGタンクローリーによるバンカリングが横浜港において開始されているなど、LNGバンクリングに関するノウハウの蓄積が図られており、世界的にもLNGバンカリング拠点の形成に向けて優位な状況です。こうした中、28年6月に、国土交通省港湾局が事務局となって横浜港をモデルケースとしたLNGバンカリング拠点の整備方策に関する検討会を設置し、同年12月に取りまとめを行いました。また、同年8月には、「未来への投資を実現する経済対策」(平成28年8月2日閣議決定)において「LNG燃料供給拠点となるシンガポールと連携した港湾の形成促進」が盛り込まれました。
 世界トップの重油バンカリング港を有するシンガポール海事港湾庁(MPA)とも連携を推進しており、28年7月、石井国土交通大臣がシンガポールでの「横浜港LNGバンカリングミニセミナー」(国土交通省、在シンガポール日本大使館共催)に出席・挨拶し、MPA長官とLNGバンカリング拠点形成に向けた協力の必要性について認識を共有しました。
 また、同年9月に行われた日・シンガポール首脳会談(日本側:安倍首相、シンガポール側:リー首相)においては、安倍首相から「船舶燃料としてのLNGの燃料供給拠点の整備における連携も強化したい」と発言があり、これに対してリー首相から「LNGの燃料供給拠点の整備についても協力を模索したい」と発言がありました。
 同年10月には、シンガポールにおいて、LNG燃料船の導入促進を図るため、「LNGを船舶燃料として開発するための協力に関する覚書(MOU)」に、国土交通省港湾局、MPAを含めた7カ国8者で署名し、LNGバンカリング拠点のネットワークを世界で構築することを目指すこととなりました。
 さらに、29年4月には、日本において、「LNGバンカリング国際シンポジウムin横浜」を国土交通省及び経済産業省の主催のもと開催し、世界からLNGバンカリングの推進に係わる船会社、エネルギー事業者、港湾当局などのステークホルダーが一同に会し(国内外から約550名が参加)、LNGバンカリング拠点の形成及び国際的なネットワークの構築に向けて取り組むべき方向性について関係者間で認識を共有しました。
 引き続き、シンガポールと連携しつつ、我が国がアジア地域において先導的にLNGバンカリング拠点を形成し、我が国港湾へのコンテナ等航路を維持・拡大し、我が国経済の国際競争力の強化を図って参ります。
 
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