第3節 産業の活性化

コラム 歴史的な海運不況と我が国外航海運企業の定期コンテナ船事業の統合

 外航船舶は、造船所へ発注してから竣工に至るまで数年を要する上、解撤(スクラップ)までの期間が長いことから、外航海運は需給ギャップが生じやすい産業であるといえます。
 近年は、リーマンショック前の海運好況期に発注された船舶が大量に市場に投入された一方、中国経済の減速等に伴い国際的な海上荷動き量が減少していることから、外航船舶は大幅な供給過剰に陥っています。
 このような需給環境の悪化を受けて、平成28年2月、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運搬するばら積み船の運賃指数であるBDI(Baltic Dry Index:バルチック海運指数、昭和60年1月4日の値を1,000とする。)が、集計開始以来過去最低の290を記録しました。また、コンテナ貨物の運賃指数であるCCFI(China Containerized Freight Index:中国コンテナ運賃指数、平成10年1月1日の値を1,000とする。)も、北米、欧州航路において同年に過去最低を記録するなど、外航海運を取り巻く経営環境は非常に厳しいものとなりました。
 このような中で、平成28年10月31日には、日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社が、効率的な事業運営の確保と規模の経済を追求するため、定期コンテナ船事業の統合を目的とした合弁会社を設立することを発表しました。
 国土交通省としては、今般の統合は我が国外航海運企業の競争力を高め、利用者への安定的なサービスの提供につながるものと期待しており、定期コンテナ船事業の統合が所期の効果を発揮できるよう3社からの相談に対応してまいります。
 
ばら積み船運賃市況の長期推移
ばら積み船運賃市況の長期推移

 
コンテナ船運賃市況の長期推移
コンテナ船運賃市況の長期推移


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