第4節 交通分野における安全対策の強化

■1 公共交通機関等における安全管理体制の構築・改善

 各交通モードにおいてヒューマンエラーに起因すると見られる事故・トラブルが多発したことを契機に平成18年10月に「運輸安全マネジメント制度」が導入された。これは、「安全管理規程」の作成や、「安全統括管理者」の選任等の制度と相まって、運輸事業者において、経営トップの主体的な関与の下で現場を含む組織が一丸となって安全管理体制を構築・強化し、国がその状況を確認して、評価や助言をすることで、安全管理体制をPDCAサイクルによって継続的に向上させるものである。
 
図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要
図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要

 28年度においては、運輸安全マネジメント評価を延べ932者(鉄道59者、自動車640者、海運223者、航空10者)に対して実施した。
 28年10月、同制度の導入から10年が経過したことを受け、「運輸安全マネジメント10周年強化月間」と位置づけ、「運輸事業の安全に関するシンポジウム2016〜運輸安全マネジメント制度導入後10年の総括と今後10年の方向性について〜」や「運輸安全マネジメント10周年記念セミナー」等、今後のあり方を巡る議論も含め、制度の更なる浸透・定着に向け、取組みを行った。さらに、同制度の効果と課題を総括し、今後の展開のあり方を検討するため、運輸審議会運輸安全確保部会において議論が開始された。
 
図表II-7-4-2 大手事業者とその他の事業者の取組み状況の相違(平成27年度)
図表II-7-4-2 大手事業者とその他の事業者の取組み状況の相違(平成27年度)
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 また、同制度への理解を深めるため、国が運輸事業者を対象に実施する運輸安全マネジメントセミナーについては、28年度において3,789人が受講した。また、中小事業者に対する同制度の一層の普及・啓発等を図るため、25年7月に創設した認定セミナー制度(民間機関等が実施する運輸安全マネジメントセミナーを国土交通省が認定する制度)に関しては、28年度において7,043人がセミナーを受講した。


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